2011.10.07 のニュース
原発推進から一転して減少へ ―エネ計画見直し、年末に中間報告―
エネルギー基本計画を見直しするため総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会での審議が3日から始まった。今後は月に1~2回開き年末には中間報告をまとめることになる。
同じく内閣府のエネルギー・環境会議も3日から検討を開始しており、原発のコスト試算をもとに、2ヵ月間でエネルギー(原発、再生可能エネルギー、石油、天然ガス、石炭など)のベストミックス、原発政策の選択肢などについて年末に中間報告をまとめる。そのため、総合エネ調も、これに合わせて検討する。
原発を推進する基本法が、一転して減少させる皮肉な結果となった。焦点となる原発政策は見直すことになるが、基本理念には、①原発を2030年に電源柳原で50%(09年は29%)としていた現行の計画をゼロベースで見直す、②安全性を高めて活用しながら依存度を低下させ、再生可能エネルギーの比率を高める、としている。現行計両(昨年6月に改定)では原発を14基を新設する計画であったが、これは難しく、ゼロベースで見直すことになる。現在、稼働中の原発も老朽化したものは廃止となるが、どこまで減らすのか、その方針(基準)をどう決めるのかは、今後の議論となる。廃止となれば、地元の雇用問題、財政問題にも発展する。米軍基地問題と同じように問題を抱えることになる。そのため「反原発」と「原発推進」の対立プロセスは、議論を閉塞させ専門家の判断と国民世論との乖離を生み出しているが、これを乗り越えた国民的な諏論を展開すべきとしている。
新設の総合エネ調・基本問題検討委は委員が25名の構成となっているが、その中には「原発推進」と「原発反対」の委員を含めるなど配慮している。脱原発という全面廃止ではなく、依存度を低減するとの方針を織り込んでいる。民主党政権も「原発低減のシナリオを具体化する」との方針で臨むことにしており、脱原発はすでに旗を降ろされている。
このエネルギー基本計画は、基本法(02年6月に制定)に基づき、経産省が策定、閣議を経て国会で承認を得るもので、自民党が原発の推進を狙って策定したものである。当時はすでに石油業法が廃止され、石油供給計画もなぐなり自由化が進展、石油公団の廃止などエネルギー政策が大きく転換していたため、これら自由化の動きに対して歯止めをかけることと、原発の推進を狙ってエネルギー基本法の制定となった。そのためエネルギーの供給目標、政策誘導、予算確保を狙ったものとなっている。石油自由化の流れの中で制定された法律であるため、エネルギー政策に対しても大きな役割を果たすものではなかったが、08年の原油価格の急騰で注目された。
長期見通しも需要動向に合わせて作成、3年毎にエネルギー情勢に合わせて改正していたものである。規制やペナルティーがなく、あくまでも供給目標となっている。エネルギ
ーの需要見通しと合わせて供給をつけていたものであるが、今回の原発事故を機にゼロベースからの見直しとなった。
原発が減少するため、当面は石油、LNG、石炭の化石燃料がカバーすることになるが、LNGシフトを想定して天然ガスの開発、ガス田の買収に対してJOGMECの出資金の
増額を来年度予算要求している。