2011.10.28 のニュース
今冬の灯油増販の期待高まる ―適正マージン確保を第一にー
灯油シーズン入りを前に、今冬は増販が見込まれている。同時に適正マージンの確保が望まれる。東日本大震災の影響で節電対策が浸透し、灯油需要が増加することと、東北地
区の被災地では灯油の暖房が増加するとの見方が予想されている。
そのため、元売サイドは、灯油在庫の積み増しを早めに対応しており、安定供給を優先する方針で臨んでいる。元売在庫は333万KLで、前年に比べると60万KLも多い。
それだけ灯油販売に関心が高まっているもので、全石連も灯油のポスターを作成、SS店頭に掲示するなど、各県の石商でも灯油販売に力を入れている。元売も増販を期待しており、昭和シェル石油は、GTL灯油を「シェルヒートクリーン」とリニューアルして全国で11月から販売することでキャンペーンを展開するなど、各社も今冬では需要回復を狙っている。
灯油販売は、減少が長期にわたって続いている。これは電力のオール電化攻勢、ガスヘの燃料転換が進んでいるためである。今後も減販が予想されていたが、ここにきて、灯油
需要が回復するとの見方が出てきたものである。節電対策で灯油ストーブの使用が予想されている。都市部でもエアコンと灯油ストーブを併用して使用されることになりそうであ
る。現に、ストーブが増販となっているため、今冬は灯油が増販となるのは当然の成り行きとみられている。
しかし、灯油販売は、天候に大きく影響を受けるため予測は難しい。季節商品であるため暖冬になれば、需要が落ち込み、供給増となり市況も下落する。そのため、まず寒波の
襲来がいつになるかで、販売数量が大きく違ってくる。ストーブを設置して使用すれば、その後は灯油を消費することになるためである。後は冷え込みが厳しくなれば増販となる
が、問題は関東以西の冷え込みがポイントとなる。北海道、東北の冷え込みは、販売数量に織り込み済みであり、その他の地区が厳冬になれば荷動きも活発化する。とくに大消費
地の関東、中部、関西地区での販売動向がポイントとなる。
ただ、灯油ストーブが増販となっても、これが実需要に結びつくかは、これまでにない状況であるため予測は難しい。節電対策の浸透が予想されるものの、都心部のマンションでは灯油の使用を禁止しており、電気、ガスの転換が進み、灯油が食い込む余地は少ない。増販が期待されているが、都市部のSSは、灯油の販売から撤退しているケースも多い。配達もマージンが確保できないことからやめており.HCなどの安値攻勢に太刀打ちができず灯油販売をあきらめているSSも多い。仮にマクロでは、増販となってもHCなどの増販のみで、ー般SSではその恩恵に浴さないことになりかねない。
一時、SSでもストーブの販売を計画したが、HC、スーパーでの販売価格が、仕入れ価格よりも安いため、取り扱いが難しいことになった経緯もある。このように灯油販売を取りまく環境は厳しい。それでも今冬は適正マージンを確保することで商戦に臨むことになり、増販を期して価格競争は避けるべきである。暖冬になると、あせりが出て来るが、冷え込みが遅れることはあっても寒波は必ず襲来するため、灯油商戦のスタートから適正価格での販売で対応すべきである。