日刊ニュース

2011.11.02 のニュース

灯油仕切価格は連続値上げ ―今冬の相場づくりを狙うー

 灯油は、仕切価格が連続して値上がりとなってきた。仕切価格は10月15日から3週連続値上がりとなり、通算で4円程度の値上がりとなった。JX日鉱日石エネルギーの10月の平均仕切価格をみても4油種では1円20銭/L、ガソリンは1円90銭/Lの各値下がりとなっているが、灯油は80銭の値上がりとなっている。
 これは灯油のシーズン入りを前にして、元売が相場づくりに取り組むことになったものである。ここにきて原油価格も値上がりに転じているため、先物、業転市況は「灯油高の
ガソリン安」となってきた。先物も灯油が66円/L、ガソリンが62円/Lとなっており、今後は灯油高で推移しそうである。
 そのため、灯油はシーズン入りを前にして、仕切価格が連続値上げとなっている。例年、元売も、この時期に灯油価格を値上げするチャンスとなるが、末端市況も荷動きが出る
11月末には相場づくりに取り組む。足元の末端市況は、SS店頭が90円、配達が100円相場となっており、これから値上げすることになる。
 3月11日の東日本大震災の発生か機に、石油製品の供給体制が一変し、サプライチェーンの維持・強化が指摘されているが、今冬は灯油の増販と供給確保策が最大の関心事となっている。
 夏場から灯油ストーブが増販となり、灯油は増販が早くから見込まれている。全石連、各石商も灯油の増販を狙い、SS店頭にポスターを提示して灯油のPRを展開している。石油連盟も同様に灯油の給湯器「エコフィール」の増販キャンペーンとして「灯油ほかほかキャンペーン」を実施している。分散型エネルギーとしての灯油の有効性、安全性、経済的で環境機能が高いことを消費者にPRしている。新聞広告、インターネット、ポスターでクイズを出し、応募者の中から20名に「石油ファンヒーター」が、32名に「石油ストーブ」が、58名に「特選の名産品」がそれぞれ当たる。
 元売も灯油の増販を見込み、早めに増産、在庫の積み増しを行なっており、すでに333万KLに引き上げている。前年に比べて約50万KL増となっている。昨年のピーク時
在庫300万KLをすでに超えている。資源エネルギー庁も、安定供給のため、灯油在庫の積み増しを要請しており、東北地方の供給には万全を期している。
 灯油は天候次第の季節商品であるため需要予測は難しい。灯油ストーブが増販となっているため、増販が予想されるが、都心部は電気、ガスヘの燃料転換は進んでおり、節電対策として灯油でカバーすることが見込まれている程度である。災害地の東北地区では灯油が販売増になることが見込まれているが、灯油が今後も暖房用の主力燃料として復活することは難しい。一過性のものに終わるかは、今冬の灯油販売にかかっている。
 現に都市部では灯油ストーブを使用する家庭が少なくなっており、マンションでは使用を禁止しているため、完全復活は難しい。相次ぐ原油価格の値上がりで灯油が高値となり、利便性で劣ることにより、電気、ガスヘの燃料転換が進んだが、今回の大震災を機に、灯油、LPGなどの分散型エネルギーが見直しされているが、今冬で灯油需要がどこまで回復するかが注目されるところである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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