2011.11.08 のニュース
減販、マージン減を在庫評価益で相殺 ―製油所の操業停止が業績に影響―
石油各社の上期決算が出揃った。石油製品の販売は、東日本大震災の影響で前年に比べると減販、マージン減となったが、原油価格が高値で推移したため在庫評価益が発生した
ことと、石油化学が市況を回復、石油開発が利益を確保したため前年に比べ増益となった。7月~9月で原油価格が下落したため、4月~6月の在庫評価益が縮小され7月~9月は減益となるケースも出ている。さらに、震災の影響でJX日鉱日石エネルギーの仙台製油所、コスモ石油の千葉製油所の操業が停止しているため、転送費など供給コストの増加で収益を悪化させている。災害による特別損失が発生している。
原油価格はドバイの1月~3月が平均で101ドル/バーレル、4月~6月が111ドルと値上がり、7月~9月が107ドルと下落、上期(4月~9月)では109ドル(前
年同期は76ドル)で前年に比べると33ドルの大幅な値上がりとなった。為替は上期が81円/ドルで前年同期の90円に比べると9円の円高となっている。原油価格は9月末には、WTIが79ドル、ドバイが100ドルへと急落した。
各社別でみるとJXホールディングスの上期の連結経常利益は2387億円で、前年同期比で1236億円の増益となった。在庫評価益が750億円あり、これを除くと163
9億円となる。セグメント別の石油桐製販売は、原油上昇で在庫評価益が732億円発生した。経常利益は1425億円で997億円の増益となった。在庫評価益を除くと693億円となり、前年に比べると87億円の減益となった。
出光興産は、営業利益は748億円で前年同期の530億円に比べると218億円増となった。在庫評価益が236億円(前年は96億円の評価損)あり、これを相殺すると実質営業利益は512億円(626億円)で114億円の減益となる。経常利益は756億円で200億円の増益、純利益は428億円で167億円の増益となる。セグメント別の
石油製品では、営業利益が490億円で181億円の増益となっている。しかし、在庫評価益が257億円あり、これを除くと257億円で144億円減益となっている。
コスモ石油は、連結経常利益が276億円で前年の267億円に比べて9億円の増益となった。在庫評価益が131億円あり、これを相殺すると145億円となる。前年は在庫評価損が129億円あり、相殺すると経常利益は396億円となるため251億円の減益となる。減益の要因は石油事業のマージン減、販売減、千葉製油所の操業停止による代替供給コストの増加があげられる。セグメント別の石油事業の経常利益は61億円(前年は81億円)で20億円の減益となった。在庫評価益が131億円あり、相殺すると70億円の損失となる。前年は在庫評価損が発生しており、その影響を除くと207億円の経常利益となるため、前年比で277億円の減益となる。
昭和シェル石油は、12月期であるため1月~9月の決算となる。連結経常利益は653億円で前年に比べると419億円の増益となる。在庫の影響を除く実質経常利益(CCSベース)は374億円で136億円の増益となった。ただし、7月~9月でみると34億円の経常損失となる。在庫評価損が106億円発生しており、これを除くと71億円の利益となる。