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「休刊日に疑問を呈す」 2004年02月10日更新

2003年12月14日(日)夕方に テレビはイラクのフセイン元大統領が拘束されたと一斉に報じた。 その日の日本時間夜9時にはイラク現地の米軍の記者会見があり拘束に至ったいきさつが 簡単ではあったがテレビを通じて日本の視聴者にも伝えられた。CNNもBBCも 同様であった。筆者は翌日の朝刊で更に詳しい報道を見るのを期待して床についたのである。

ところがである。翌朝新聞受けに新聞は入っていなかった。その日は新聞休刊日だったのだ。一般に休刊日は当然のことと受け入れられているのかも知れないが筆者は釈然としないものを感じる。そもそもジャーナリストの使命は 新しいニュースを一刻も早く読者に届けることにあるのではないか。そのために他社を出し抜くスピードを 各社が競っているのではないのか。 

このニュースが如何に新聞社にとって重大なものであったかは 翌日の夕刊を見れば分かる。夕刊では 一面と社会面の殆どを使って このニュースを扱っているのである。これほどのニュースを 翌朝の朝刊で読者に届けられないという事実を 一体新聞社はどう考えているのだろうか。毎日切磋琢磨している新聞記者は どう思っているのだろうか。

筆者はロンドンとニューヨークに在住した経験があるが 新聞休刊日などは無かったと記憶している。 おそらくこの他の殆どの国でも同様であろう。 これは当然のことであり 日本がおかしいのだ。 もし 新聞がなくとも テレビもラジオもあるではないかと考えているとしたら メデイアとしての新聞の凋落は防げまい。 新聞の購読者数は間違いなく減るだろう。 それでなくとも 日本の新聞購読料は 外国と 較べて格段に高いのだ。

新聞社はその社会的使命が認識されているため 社会からいろいろの特典を与えられている。 これは 一般の企業にはないものだが それだけに一般の企業と同じ行動をとることは期待されていないのである。 長引くデフレの影響で 一般企業も銀行も役所も 給料のカットなど痛みを伴う経費節減に懸命だが 新聞社が同じ行動をとったとは聞いていない。 紙面で企業や役所の無駄な経費を盛んに指摘するが自らのこととなると知らん顔である。 これがまかり通っているのも 新聞社がその社会的使命を果たすと期待されているからである。
デパートでも年中無休となった現在 新聞も休刊日を廃止したら良いのではないか。
なぜなら これは新聞の本来の理念に反するものだからである。

(一本杉)

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