「ガソリン税が狙われている」 2007年01月16日更新
遅ればせながらあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さて 長期に亘った経済不況もどうやら終焉となったようで、経済界全般に亘って先行きに明るい見通しを持つようになってきたようです。こうなると、これまで赤字国債の乱発で巨額の負債を抱えた日本国としては、財政の健全化に向けて負債の解消を図らなくてはなりません。ひらたく言えば増税です。無論景気が良くなれば自然に税収は増えるのですが、それだけに期待していて解決するほど国の負債は半端なものではありません。
そこで自民党がかねてから考えていたのが消費税の増額です。然しこれに関しては小泉首相が一貫して自分の在任中には消費税には手をつけないと主張して来たため、実現化は見送られてきました。しかしだからと言って自民党があきらめたわけではないのは、その後の総裁選挙の時に阿部現首相の対抗馬として出馬した議員が消費税の増額を宣言していたのをみれば明らかです。消費税以外に税収を大幅に増やす財源は見当たらないということです。
しかし消費税の増額は国民1人ひとりの毎日の生活に直接影響をあたえるものですから、よほどうまく説明して国民に納得してもらわないと反対の嵐に巻き込まれるのは必定です。ましてや今年の夏には参議院選挙を控えており民主党が過半数取得を声高に叫んでいる時にこれを行うのはあまりにも危険すぎると考えるのが普通です。そこで目をつけたのがガソリン税ということでしょう。
ここで問題はガソリン税が道路特定財源であり、道路建設などの目的以外には利用できないことです。一方政府は道路の建設費用を削減して財政の健全化に役立てようとしており、現状のままガソリン税を増額することは意味をなさない。そればかりか道路建設費が削減されてガソリン税が余剰収入となった場合にはガソリン税の引き下げ圧力が強まりかねないのです。そこで政府としてはまずガソリン税を一般財源としても使えるように法律を改定する必要があります。これは既に閣議決定されており、おそらく早晩法改正が行われるでしょう。
現行のガソリン税は1970年代の第一次オイルショックのときに暫定措置として¥28.7/Lから¥53.8/Lに約倍増したものです。ガソリン価格が数倍に上昇した為に税額の倍増もさほど目立ったものではありませんでしたが、その後ガソリン価格はジリジリと下げ続き店頭価格が¥80/L程度のときにはその約68%が税金という有様でした。今回の原油価格の高騰により再びガソリン価格は上昇をはじめ仮に店頭価格を¥130/Lとすると税金の割合は42%程度となり、税の割合は大きく下がっています。
これは徴税する側から見れば増税のタイミングと言えましょう。また原油価格次第で数十円も上下するガソリン価格であれば、消費者も増税に対してそれほど敏感にはならないだろうという読みもあるはずです。消費税増額で危険を冒すよりもガソリン税を増額してそれを一般財源に使おうと考えるのはむしろ当然とも言えます。先ず法改正を行いそしてガソリン税増額に向うのはほぼ間違いないと思えます。世界的に見ても日本のガソリン税は決して高くないのです。
それにしてもこのガソリン税にも店頭で消費税が課されているのはどうしても納得がいきません。あきらかに二重課税であり、徴収が容易であるというだけでこれをいつまでも続けるのは国民に対する不遜行為であると言えましょう。
(一本杉)