差別化強まる車検業界 1級整備士新設で国交省、来年度検定開始へ 2001年08月31日更新
各種メディアでも紹介されているが、新設されることになった1級自動車整備士が大きな関心を呼んでいる。従来の2・3級整備士から取得の難しい最上位ランクの階級が設置されたことで、車検業界はさらに整備工場ごとの差別化が強化されていくことは間違いない。国土交通省は平成14年度の一級整備士技能検定開始を目指している。もともと1級の制度自体は1951年から運用する予定で、その技能範囲も決まっていたが、これまでは2級と3級の資格保有者育成に重点を置くなどの理由から1級の試験は見送られてきた。
しかし自動車の制御機能に高度なユンピューター制御装置が採用されるなど、新しい技術が自動車に採用されてきた。またユーザーの自己管理意識が高まり、リサイクルの推進など地球環境の保全に向けた対応が整備業界にも求められている。
そのため近年、日整連など整備業界から1級整備士試験の早期実施を要請する声が高くなってきた。当然これまでテスターで故障の探索ができる水準と設定していた1級自動車整備士の資格を、近年の環境状況に対応できる修得レベルについても判定するものとし、同時に技能範囲を適正化して検定を行う。
主な改正点は1級整備士の種類の分割。これまでの①1級4輪(普通、軽を含む小型と3輪)、②1級2輪(小型と軽)の2種類から、省令を改正して1級4輪を①1級大型、②1級小型に分割し、③1級2輪とともに3種類を設定する。試験に関しては試験の合理化を図るため実技試験に失敗しても2年以内に再受験した場合には学科試験を免除。
また①学科試験の1次(筆記)で合格し2次(口述)で不合格となった者は、1次試験合格後2年以内に限り1次試験を、②1・2種養成施設で1級課程を修了した場合は、終了後2年以内に限り実技試験を、③運輸(旧)大臣が別に定める試験(認定試験)に合格した者は、合格後2年以内に限り学科試験をそれぞれ免除できる。
1級試験の受験資格は2級の技能検定合格後、2年以上の実務経験者で、新たにできる1種養成施設(専門学校の専科コースなど)に設ける1級課程の修了者にも資格を付与する。1種養成施設の整備専門学校生には、インターン制度を新たに導入し、通常2年間で行われている教育期間のうち1年間は1級課程の修得に充て、残り1年間整備工場などでの実務研修となる。
1級整備士に必要な項目を見ると、時代に沿った専門的かつ高度な知識・技術が必要なことが分かる。このことは1級整備士を取得した人間を置くSSは整備・車検業務においてアドバンテージを握ることが可能となることを示している。そのため車検業務の業者による差別化も、よりはっきりしてくるだろう。