2011.11.10 のニュース
エネ白書 石油基地、物流機能の強化を
東日本大震災を機に、エネルギー政策、基本計画を白紙で見直すことになり、総合エネルギー調査会などで議論を開始しているが、先に発表されたエネルギー白書では、今後の課題を指摘している。エネルギー白書では例年、エネルギー政策に関する現状の課題、今日まで講じてきた施策と今後の方向を提示している。とくに東日本大震災によって生じた原発事故によるエネルギー需給、被害の状況、その対応、課題を網羅しているのが今回の白書の特長である。
最大のエネルギーの課題は原発政策となり、エネルギーのベストミックスとして、電源構成で現在の原発のシェア30%をどこまで減らすかにかかってくる。原発を削減することによる不足分をLNG、石炭、石油の化石燃料でカバー、さらに再生可能エネルギー(新エネルギー)のシェアをどこまで増やすかが議論となり、新たに節電対策も織り込まれる。
エネルギー白書では、原発については、安全性の確保ではストレステストを参考にした新たな安全評価の導入を示した政府の方針(7月11日)に従って対応するとともに事故検証結果や教訓を踏まえて安全規制を強化する。原発の再稼働については、地元自治体との信頼関係の構築が大前提であり、地元自治体に対しては、政府が前面に立って安全対策について丁寧に説明し、理解を得るべく努力する。東日本と西日本との融通を行なうために周波数変換所や連系線の強化が必要である、と当面の課題を指摘している。しかし審議中の原発政策には触れていない。
都市ガスについては、ガス製造施設や供給施設(導管)が破損、LNG基地の機能停止を含め8県16事業者で供給が停止した。そのため、単独のLNG基地に供給を依存する地
域において製造施設が被災し機能停止に陥った場合、長期間に渡りガス供給が途絶するリスクが顕在化する。安定的な供給体制の構築に向けた広域天然ガスパイプラインをはじめとする供給ネットワークの整備のための取組の強化をあげている。
石油・LPGについては、東日本大震災で石油は関東・東北にある9製油所のうち6製油所、多くのSSが被災した。LPGは仙台ガスターミナルが被災した。東北地方、関東圏でのガソリン、軽油の供給を確保するため3月17日には包括的な供給プランを策定した。西日本の製油所から大量転送による緊急の供給確保措置とタンクローリーの追加投入を拡大輸送ルートを設定し、LPGでは関東・新潟などの輸入基地から長距離輸送を実施した。これらの経験から、石油基地等の災害対応能力や、物流機能の強化、災害時にも確実に石油製品を供給できる体制の整備が必要としている。
石油業界では、緊急時に備えて平時からサプライチェーンの維持・強化を要望している。とくに被災地の石油基地の災害対応能力の強化、SS網の整備。災害対応型SSの増加
などに予算を要求している。さらに緊急時に備えて石油製品の国家備蓄の積み増しを狙って備蓄法の改正を行なう。LNGの供給確保のため天然ガス田の権益確保、円高対策からもガス田の買収のチャンスとみてJOGMECの出資枠の大幅増加などの予算措置を講じている。いずれにしても石油に対しては3次補正、来年度予算ともに増額となっている。