日刊ニュース

2011.11.15 のニュース

仕切価格と業転との価格差拡大 ―系列SSの経営難が続くー

 ガソリン市況は下落しており、マージンが減少しているため系列SSの経営は悪化している。東日本大震災後の額殿少、消防法の規制強化で老朽化したSSの地下タンクの補強もあってSSの廃業が加速、SS数は減少しており、過疎化問題が表面化しそうである。都市部でもガソリンを給油するためSSを見つけるのに苦労するようになってきた。
 SS経営難による減少の要因は①業転市況と系列仕切価格との価格差の拡大、②体力のあるHC、量販店の安値攻勢で対抗ができなくなってきた、③安値攻勢に対応した安値販売でマージン減少の悪循環が繰り返す、などの点があげられている。
 ガソリン市況は、石油情報センターの調査の平均は143円/Lとなっているが、街道沿いでは140円を割っており、中心値は135~6円、安値は130円を割っている。マージンは減少して10円を割っており、SSは経営難となっている。需給が締まるとマージンを一時的には確保できるが、これを長く維持することができず、価格競争が展開されるのが常である。
 価格競争の要因は、業転市況と系列仕切価格との価格差問題であるとの見方が販売業者間に強い。仕切価格の設定が、月決めの原油価格、為替変動を加味したコスト変動方式から改定され、市場連動制の新体系に移行した。当初は、業転市況に連動することで、仕切価格と業転市況との価格差を縮小され、公正で透明な新体系として導入され、販売業者も容認、歓迎した。しかし、業転市税が元売の思惑と違い値上がりせず、この方式ではコストが回収できずに赤字となった。元売は赤字を解消するために業転市況にブランド料(4~5円/L)を加算、さらに原油価格、他社の動向などを参考にした新・新体系を打ち出した。市場連動制からコストを加味した価格体系となり、販売業者からは「不透明な体系に変更した。ブランド料の定義は不明である」などの反発が出ている。元売は、ブランド料というコストを加算したことでマージンを確保することになり業績は回復して黒字に転換した。石油製品のマージン確保を重視する経営が定着することになった。
 一方、販売業者は、依然として価格競争が展開され、マージンが減少する赤字経営が続いている。安値販売によるマージン減の根本は、業転市況と仕切価格との価格差にあると反発しており、現にその価格差は拡大の方向にある。   
 市場連動制を導入する前までは、各社は業転を認めておらず、業転玉の扱いを否定していた経緯もある。一気に業転を容認して、業転市場へ放出することになり元売は業転市場、東工取の先物市場にも正式に参加するところとなった。
 業転市場が認められ、販売業者も購入が可能となったが、業転玉を購入すると系列のマークの元で販売するのは商標権を犯すとして制限がかかり、安値業転玉を購入できないケ
ースも出ている。元売の優越的地位の乱用であると反発もでているが、個々の取引きとなるため、系列を逸脱することもできず難しい状況にある。HC、量販店は安値業転玉を購
入して商売しているため販売価格に大きな価格差があらわれ、系列SSは販売減、マージン減で経営難が続くことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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