2011.11.17 のニュース
石油基軸のベストミックス
大震災と原発事故により、原子力の安全性について、国民の信頼が大きく損なわれた。また、電力・石油・ガスといったエネルギーの供給に混乱が生じ、我か国のエネルギーシステムが抱える脆弱性が明らかになった。
これまでのエネルギー政策を反省し、聖域なく見直す。エネルギー基本計画もゼロベースで見直す必要。原発については、中長期的に依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すとともに、省エネルギーの徹底的な推進、再生可能エネルギーの開発・普及の強力な推進が重要。
前年度のエネルギーに関する年次報告であるエネルギー白書2011が発表され、冒頭の2つのフレーズが、わが国の「今後のエネルギー政策の方向性」として示された。
石油危機の際のキーワードは、脱石油と脱中東。この2つのキーワードに沿って、その依存度を引き下げる方向へと大きく舵を切ったエネ政策は、使用に関しては、省エネとい
う世界に冠たる大きな経済的な成果を得たが、資源としては中東を避けた結果、少しの権益と多くの負債を残した。
20世紀末に、新たに地球環境というキーワードが加わり、エネ政策はサスティナブルな経済成長に舵を切る。CO2の排出抑制という観点から、電源は原発と再生可能エネの推進に重きが置かれ、わずか2年前の鳩山25%削減宣言で、これに急アクセルを踏み込んだ。そして3・11。
過去のエネ政策見直しの大きな目では、必ずや石油への依存度を引き下げることが中心だった。石油の依存度を引き下げる具体的な手法として、石油により大きく課税したうえで、そこから得られる税収を、どんどん石油代替エネの導入支援に充てる政策が実施されてきたのだ。
ところが3・11で、まず「安価」「安全・安心」「安定」こそが、基幹エネに求められる最低条件であることが再確認された。「ペスト・ミックス」ということを前提として、現実的な議論こそが期待される。経済合理性と代・新エネ産業の創造を加味したうえで、3・11の教訓を生かす。より地球環境に優しい方向性は21世紀エネルギーの常識とすべきだろうが、石油も「災害対応能力や、物流機能の強化を行うなど、災害時にも被災地に確実に石油製品等を供給できる体制の整備」が求められている。