日刊ニュース

2011.11.21 のニュース

ベストミックスを議論へ ―原発縮減も他エネは一長一短―

  エネルギー基本計画の見直しが、総合資源エネルギー調査会で審議されている。エネルギーのベストミツクスの中で、電源構成に占める原発のシェアを議諭する。「反原発」と「原発推進」という相反する意見がでる中、対立するのではなく、国民的な議論を展開することになっている。
 原発推進派も、2030年に原発シェアを50%に引き上げる現在の計画は不可能としており、現実的には20%程度とする案が多いようである。現在も原発が定期点検に入り、これが地元の反対で再稼働ができないことになると、来年の夏には電力不足で停電になることを政府も認め危機感を持っている。
 来年夏の電力不足に対して、今年の夏場も節電で乗り切った実績があるため、原発が再稼働しなくても供給面で問題がないとの見方もあるが、電力は貯めることができず、一瞬でも電力が不足すれば停電となるので計画性をもった対応が必要となる。東麗軍内では、今夏は計画停電で乗り切ったが、節電効果が予想以上にあり、使用率は余力が生じた。
消費者、企業が節電に努めたものだが、新しく節電(省エネルギー)効果が評価されることになった。ベストミックスの議論でも「原器、「化石燃料」、「再生可能エネルギー」の他に「節電」(省エネ)効果を加えることになってきた。
 基本的には原発を減らし、再生可能エネルギーを増やすことになる。しかし、再生可能エネルギーは環境には良いが、安定性、立地に制約があるため実用化には時間がかかる。
 その間、化石燃料(石油、石炭、LNG)で繋ぐことになるが、石炭は、他の燃料に比べるとコストが安いがCO2の発生が最大である。石油は利便性に優れているが、高値で供給安定性に不安がある。LNGは、供給安定性が高くクリーンであるが、原発事故を機に値上がりしている、など一長一短が指摘されている。
 石油火力は、以前はシェア一位であったが、石油ショックや中東の政情不安、先物市場への上場で需給と関係なく急騰することなどから、脱石油政策が打ち出され、電源構成では8%と減少している。福島原発の事故でも、急に石油にオーダーがでたが、石油業界は「直ちに供給することは難しく平時から一定の供給数量を確保すべき」。と要請している。しかし石油火力の新増設は認められていないため、石油消費は実質増加しない。休止中の石油火力を再稼働させるもので、現状では石油需要が長期にわたって増加することは
ない。短期的な供給増であり、重油の内航タンカー不足に対しても建造することはできない。また重油の不足に対しては輸入で対応しているため、国内生産は増えないなど状況が変わっている。
 化石燃料で増加するのは、LNG、石炭となる。とくにLNGは、福島の原発を基に、電力会社が手当てしたこともあり急騰している。LNGの確保は、電力のサプライチェーンの強化に通じるため、天然ガスの開発、ガス田の買収に力を入れることになり、予算も要求している。
 原発は、環境、コスト面では優れているか、廃棄処分、事故による被害は巨額(10兆円)であり、賠償責任が生じるため経営が成り立たない。保険でカバーする仕組みで対応すべきとの主張にも限界もある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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