2011.11.22 のニュース
クルマが示す燃料の近未来
ガソリン販売動向を占う古来のメイン指標は、クルマ台数と経済状況の2つだった。クルマの増減と景況感がガソリン数量に大きな影響を及ぼすということは、自明の理だったが、2回の石油ショックをへて、もう1つの要素が加わった。それはクルマ個々の燃費だ。
国内の総登録台数7890万台の車両のうち、乗用車は5840万台。ガソリン販売量は5800万KLだから、1台の平均使用量は年1000L、月83Lということになる。1970年のそれは年2550L、月212Lだったが、2度の石油危機を経て、80年には年1520L、月126Lまで低下した。バブル期に大型化影響で低下速度は鈍ったが、21世紀に入って、小型化と低燃費化が着実に進み、現在に至る。
5840万台のうち、売れまくっているハイブリッド車は150万台程度で、まだごく少数だ。電気自動車は1万台強で、ほぼ無視できる数字である。ただし、次世代自動車の割合は、エネルギー基本計画2010によると、20年に新車販売の50%、30年に70%にするというから、今後は大きく跳ね上がる。登録から抹消に至るクルマの平均寿命は12.4年。現在、走行中のクルマが、今年以降の新車とそっくり入れ替わるのは12年後ということも覚えておきかいキーワードだ。
自動車系シンクタンク予想では、次世代車は20年時点で保有1350万台、保有シェア19%となるという。保有ペースの約6割、販売ペースの約半分がガソリンHV乗用車か占める。来週から始まる東京モーターショーの主役であるプラグイン・ハイブリット車は来年頃、20年時点では水素自動車や燃料電池車も市販されているだろう。その結果、20%のCO2削減されるという予想を織り込んでいるから、この数字をそのままガソリン数量に当てはめると、年5800万KLは、20年に4640万KLとなる。
この数字は、我々にとって大きな減少に映るかも知れないが、実は年率では2.5%の減少にしか過ぎない。極めて優しい数字であり、変革への時間的な猶予としては、まだ十二分にある。技術革新と政策誘導によっては、年5%減ということを覚悟しながら、燃料供給を軸足として、そこから得られる収益を、再生産可能なレベルへと再構築し、10年後に備えて、商域を増やすことを目指そう。