日刊ニュース

2011.11.22 のニュース

緊急時円滑化法は有識者会議で ―新石油政策の打ち出しに期待―

 全石連は「繋急時石油流通円滑化法」の導入を提言している。これまでの規制緩和策を是正して、平時から緊急事に備えて、精製・元売・販販売業者の情報を資源エネルギー庁に集中し、緊急時に石油製品を最適配分する仕組みを構築するもので「石油版スマートグリッド」となる。
 その中で、地域での情報収集拠点として「石商」を位置付け、さらに「緊急時重点供給SS」の指定、地方自治体と迎係した製品備蓄の導入、学校、駅などの公共施設の自家発電設備の配置と年2回程度のメンテナンスを義務つけるなど、地域単位で、平時から災害時を想定した対策を講じるべきとしている。また、石商の役割を踏まえて、災害時の供給は、「官公需適確組合制度」の実効性を担保する仕込みをつくることも提言。これを有識者会議に提示した。
 一方、経産省は、緊急時の対応策としては、石油製品の国家備蓄を実施するため備蓄法の改正と、その予算要求を行なっている。緊急時とは、今までは、中東等の政情不安、紛争、戦争などで原油の供給が途絶という外部環境の悪化で、国内がパニックとなる石油危機を想定していた。しかし3月11日の東日本大震災は、地震、津波による被害が発生、今まで経験したことのない事態となった。製油所の操業停止、油槽所、SSが被害を受け、道路が寸断され、ローリーでの輸送が困難となり、国内での石油の供給途絶を経験することになった。加えて福島原発の事故が重なり、電力不足が社会問題となった。そのため緊急時の対応策を一新することになったものである。
 エネルギー政策の中では原発問題が最大であるが、石油政策も有識者会議で検討されている。石油政策は「平時は自由化、緊急時は規制(緊急時の需給安定化法、備蓄法)」という枠組みとなっている。今回、聚急時対策の見直し、平時の行過ぎた自由化の是正という意見が出てきた。とくに販売界は、過当競争からSSが激減しており、SSがない地域が存在する過疎化問題が発生している。全国で4万力所あったSSは3万8000力所に減少しており、平時でも石油製品の安定供給が難しい地域が発生している。SSの減少はガソリン、灯油などの需要減もあるが、過当競争で適正マージンが確保できず、赤字となり廃業するSSが増加した結果であるが、このまま放置すれは、ますますSSが減少することになり、緊急時の対応が困難になる。
 ユーザー側も利便性から電気、ガスに燃料転換しているが、緊急時にのみ石油に回帰するような体制ではなく、平時から一定量の供給を確保する体制を維持する政策が必要であ
る。災害時には分散型エネルギーの拠点としてSS(石油製品)の役割が評価されるが、石油製品のサプライチェーンの維持・強化は平時から国の責任で取り組むべきである。
 石油業界も震災での経験を教訓に、新しい秩序を形成すべきである。現状の業界構造は自由化が進展しているため、過当競争はエンドレスに続き、ますます淘汰が進むことになり、SSの減少が進行する。
 ある程度の競争は必要であるが、競争によって勝ち残った企業により強靭な業界が形成されるとみるのは理想であり、需要減少は続くという実態を認識して、新しい石油政策を打ち出す時期にきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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