2011.11.24 のニュース
叩き台を提示、有識者で議論 ―来年度予算要求を支援する方向―
資源・燃料政策に関する有識者との意見交換会(緊急時の石油・ガス供給体制)の初会合は、15日に開催された。災害時の資源・燃料(石油・ガス)の安定確保のための先行実施対策を検討するものであり、年末には中間報告をとりまとめる。
この有識者会議は、内閣府の[エネルギー・環境会議」での「エネルギー需給安定行動計画」に基づき実施対策を策定するものである。東日本大震災を機に、原発政策などエネ
ルギー基本計画の見直しを審議している総合資源エネルギー調査会とは、別の組織であり、短期の供給確保策を審議するものである。
年末には方向を提示することになっているため、時間的な余裕がなく、経済産業省が、実施策の問題点となる叩き台を提示しており、これを基に検討に入る。すでに補正予算、来年度の予算要求(石油の供給拠点の強化、防災型SSの増強)、備蓄法の改正などの要望事項に織り込まれており、その対策を支扱することを狙ったものである。
叩き台では、震災で東北地方を中心とした製油所、油槽所、SSなどの石油の生産・出荷設備が被害を受け、さらに道路、鉄道、港湾などの物流網が損壊・寸断され物流が途絶したことから石油の供給に大きな支障を来たした。こうした状況下で、政府は石油各社との連係の下で病院、避難所などへの供給要請に応じたが、供給不足が解消されるまでに時間を要しており、サプライチェーンの維持・強化と災害時の初動の迅速化の必要性が明らかになったと問題点を指摘している。
石油ガス(LPG)も、沿岸部を中心に石油ガス基地や充填所が過去に例のない規模で被災した。その対応策としてはLPGの民間備蓄を引き下げ、国備と民備との交換を行ない、新潟、関東からのローリー輸送の強化などで対応したが、多くの問題点が浮き彫りになったとしている。
大規模災害時に、石油・ガスの牛産が停止する場合を想定し、孤立し た被災地内の供給体制の整備が必要となる。そのための具休策として、各地域の供給拠点となっているオイルターミナルに、停電に備えた非常用電源の設置、出荷設備の強化、災害時に在庫(備蓄)を出荷・供給する体制を構築することが必要となる。SSについては、自家発電設備の設置による災害対応能力の強化、中核的なSSの整備、緊急車両や重要施設への供給を円滑に行なう体制の構築が必要である。港湾、道路のインフラ損壊に対しての復旧の緊急体制構築のため国土交通省、防衛省、自治体等の連携強化などが必要である。LPGは、中核的は充填所を選定し、単独でも供給できるように自家発電、衛星通信、LPG車などの配備が求められている、などと対策案を提示している。また、災害に備えた石油各社のオイルターミナルなどの設備の共同利用、共同計画を予め策定するための制度の整備、詰幕との関係の整理も必要としている。
また、災害時に石油・ガス備蓄か放出可能とする制度を見直しする。今回も民間備蓄の義務量の引き下げで対応したが、緊急時には石油製品の供給が求められることから石油製
品の国家備蓄を強化するための備蓄法の改正を行なう。その改正案として民間タンクを活用して4日分を増強するとして予算を要求している。