日刊ニュース

2011.11.28 のニュース

灯油、連続値上げで高値感 ―増販期待も節約の浸透が懸念―

灯油商戦のスタートは遅れている。関東地区への寒波の襲来が遅れており、荷動きが鈍い。今冬は、東日本大鋸災の影響で需要回復のチャンスとみて対応しているが、灯油は値上がりしており、高値感からユーザーの節約が懸念されるなど厳しい状況にある。
 元売による仕切価格は、10月15日(土)から6週連続して値上がりとなっており、累計で7円/L強の値上がりとなっている。この間の、ガソリン仕切価格の2~3円値上げに比べると、灯油の値上げ幅は大きい。原油価格の値上がりから、元売はシーズン入りを前に灯油の相場づくりに優先的に取り組んでいる。
 東石商の調査(22日)では、仕切価格が75円、業転価格が70円となっている。原油価格は、WTIが100ドル/バーレルを突破したが、96ドル台に下落して乱高下している。だが、中東産は100ドル程度で推移するなど、ここにきて安定している。日本の輸入原油価格は中東産に連動するため、110ドル相場で国内市況を形成することになる。10月の原油価格はCIFは111ドルで、53円50銭となっている。
 業転市況は69~70円、東京工業品取引所の先物は67円程度で推移している。ガソリンが62円であるため、「灯油高のガソリン安」の体系となっている。ガソリンの仕切価格はガソリン税を除くと71~72円であり、灯油の仕切価格が75円であるとすると灯油は3円程度の高値となっている。
 ここにきて関東地区の冷え込みも見込まれており、本格的な灯油シーズン入りとなる。末端市況は、これから相場づくりとなる。仕切価格は75円とすると、消費税(5%)を加算して約79円となり、マージンを10円加算するとSS店頭販売は89円となる。90円相場が目安となるが、マージンを15円とすれば95円となる。配達は100円~110円を狙うことになる。18L缶で1800円~1980円となるが、2000円となるとユーザーも高値感を持つことになり、節約で販売に影響がでる。震災を機に、電気、ガスからの回帰を狙うチャンスが到来しているが、灯油が高いというイメージをユーザー
に与えることはマイナスとなる。為替が77円/ドルの円高であるが原油価格は100ドル台の高値であり、原油価格CIF価格は53円の高水準にあり元売も適正マージンを加算すると仕切価格は70円台となる。
 石油業界としては、原油価格の高騰という厳しい時期を迎えている。灯油は電気、ガスに比べて安定供給、緊急時対応の面では優位だとして売力込むチャンスであるが、この時期に灯油高となるとタイミングが悪い。石油製品価格が大幅に変動して割高であるとの理由で電気、ガスヘの転換が進んだが、安定供給の立場から灯油を見直す時期にあり、今冬が試金石となる。電気、ガスヘの転換にブレーキをかける時期にあるが、灯油需要が回復・増加が焦点となる。今冬は、灯油ストーブの売れ行きが好調であり、販売増を見込んでいるが、実際に需要増となるのかは、今後の様子をみることになる。
 一方、節電・節約の浸透で、暖房でも灯油需要を控える動きをするとの見方もあり、灯油ストーブを購入したが利用率は低いとの不安材料となっている。いずれにしても灯油販売は天候が大きく左右するため、寒波の襲来を待つことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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