日刊ニュース

2011.12.01 のニュース

有識者会議、次回で取りまとめ ―新政策、来年度予算要求を支援―

 資源・燃料政策に関する有識者会議は、次回は12月2日に開かれ、中間取りまとめを行なう。その後はパブリックコメントを求め、経済産業省が叩き台を示すことになる。その内容は来年度予算要求の支援と新しい政策の方向つけ、備蓄法の改正など石油業界の要望が織り込まれる。
 東日本大震災を機に、総合エネルギー調査会で原発政策を中心にエネルギー基本計画の見直しを検討することになったが、今回の議論はこれとは別に、資源・燃料政策の検討を15日から開始したもので22日、25日、29日に開催した。短期対策として経産省が叩き台を示して議論したものである。当面の対策は、被災地の復興を目的とした補正予算、供給拠点を強化する来年度予算要求。備蓄法の改正(製品備蓄の増強)などを取り上げている。審議は石油精製・元売、販売業界、LPG、都市ガス、石油開発業の代表から意見を聴きながら進められた。年内には来年度予算の政府案を決定するため時間的な余裕がないことから、経産省が主導するかたちで叩き台を示し、取りまとめることになった。
 精製・元売からは製油所、油槽所などの供給拠点の強化、供給サプライチェーンの維持・強化についての意見、販売業界からは、最終消費者への石油製品の安定供給の確保をはかり、最前線としての役割を担うための供給体制の維持についての意見が述べられ、災害対応型SSの整備、緊急事を想定して平時から情報を収集するための「緊急時石油流通円滑化法」(仮称)の制定などの案が提言された。LPGについては、仙台ガスターミナルの復旧、災害時や調達困難時における安定供給の強化策を提示、石油・天然ガス開発については、原発事故を機に、当面はLNG火力発電の増強が急務となり、天然ガスの開発を推進することになる。そのため天然ガス田の買収、権益獲得に対しては、JOGMECの出資を拡大することになっている。円高対策もあり補正予算と合わせると約1000億円を見込んでいる。
 再生可能エネルギーの開発では、地熱開発に取り組む。来年度予算要求では、新規で地質構造調査で108億円を計上している。さらに、地熱資源の調査を行なうことを目的に調査井の掘削、建設段階における抗井の追加掘削に対して、80億円の出資を要求している。地熱開発は、日本は火山国で世界有数の資源量を有しているが、地熱による電力供給量は国内令休の総発電量の1%弱である。地熱は環境負荷が少なく安定電源であるが、開発までに10~20年とリードタイムが長いことと、掘削費など開発コストが割高であるなど問題も多い。また、温泉地、国立公園などの地域に該当するため、開発には地元住民などの反対意見も多く、また環境省などの調整も絡んでくる。コスト面では電力買取制が実施となるため、コスト回収ができる価格が設定されれば、開発が進むことになる。また、国内の基礎調査で162億円、メタンバイトレートの生産開発で153億円を要求している。
 このように震災を機に石油政策関係の予算は、業界の要望を反映して要求されており、年末の政府案の決定、国会での成立を狙っている。今回の叩き台で、予算の確保と政策推進の方向が決まるため、中間取りまとめが注目されている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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