2011.12.02 のニュース
12月は灯油、ガソリン増販に期待 ―C重油増販も需給バランス保つー
いよいよ12月入りとなった。12月は、1年間で最大の燃料油販売量を記録する月である。経済は低迷しているが、年末であるため経済活動は活発化する。そのため12月の燃料油販売は前年、前々年とも約1900万KL(年間は1億9000万KL)で、他の月と比べて一番多い。
今年は、3月11日の東日本大震災を機に、経済活動は一変して落ち込み、石油製品の需要が減少している。4月以降は減販となり、23年度上期は4%程度のマイナスとなっている。福島原発事故の影響で電力用C重油は増販となっているが他の油種では減販が続いている。10月~11月も前年比ではマイナスが続いており、12月も減販が見込まれている。
販売減に対応して各社は減産で臨んでおり、需給は比較的安定して推移している。それでも12月商戦となると元売、販売業者とも増販期待が大きい。今年は前年に比べると減販となるが、通常月に比べると増販が見込まれる。とくに灯油は、本格的なシーズン入りとなるため荷動きも活発化する。今冬は、震災の影響で灯油ストーブの売れ行きも好調であり、灯油の増販が見込まれている。また、東北地方の安定供給を最優先するため、在庫も早めに積み増ししている。前年に比べると90万KLも多く360万KLとなり、供給確保には万全を期している。関東地区は冷え込みが遅れているが、近年は寒波襲来が遅れる傾向で、冷え込みが3月~4月にずれ込むケースも多いことから、今は我慢する時期にある。あせりから、安値販売に出ることはないようであるが、寒波襲来が12月末と遅れると波乱も予想される。しかし安値で販売しても販売量が増加することはない。仕切価格も値上がりしているため、ここは値取りを優先して商戦に臨むべきである。
ガソリンも12月販売は、10~11月に比べれば増販が見込まれており、夏場の8月(545万KLに次ぐ増販が期待される。年末になれば帰省、スキーなどのレジャーに車を使用することになる。またガソリン営業車の走行距離も伸びてくれば増販となる。
軽油販売は、マイナスとなっているが小堀である。震災特需もあって、重機の稼働、トラック輸送も増加、年末は宅配便ら増加するため、販売数量は確保できそうである。貨物輸送は景気動向に大きく影響するため、産業活動、景気回復が期待される。
C重油は電力用の増販が続いている。原発の事故、点検による操業停止で石油、LNG、石炭の化石燃料にシフトしている。電力会社がLNGの輸入を優先確保したため、石油
の供給は、大幅増とはなっていない。
それでも10月の電力10社の重油の受入は97万KL(前年は45万KL、原油は95万KL(39万KL)と増加している。
原油の生だきが急増したことと、C重油を輸入増で対応しているため、国産での供給は大幅に増加せず、国内の石油製品需給は安定して推移している。当初は電力用C重油の増
産で、原油処理が増加、他の製品が供給増となり、需給バランスが崩れるとの懸念もあったが、今のところ安定している。今後、C重油が増産となると需給バランスの崩れも懸念
されるか、全油種が需要期であるため供給増は解消されそうである。