2011.12.08 のニュース
電力用C重油のみが増販続く ―輸入で対応、需給バランスを保つー
燃料油販売は、電力用C重油が増販となっているが、その他油種は減販となっており、今後も燃料油全体ではマイナスが続く。平成23年度上期は燃料油で3.7%減(C重油は10.8%増)となっている。10月の燃料油は横ばい(C重油は49.9%増)となっているが、11月も燃料油全体は減販が見込まれている。
23年度の当初も減販が続くとの見通しであったが、3月11日の東日本大震災の影響が、今後どのように景気に反映するかが不透明であったため、経産省は23年度の需要見通いの策定を見合わせた。景気動向は7~9月の実質GNP成長率が1・9%増と4期ぶりにプラスとなった。政府は「景気は震災の影響により、依然として厳しい状況にあるなかで、引き続き持ち直しているものの、そのテンポは緩やかになっている」とみているが、震災対策、円高対策で12兆円の補正予算を決めている。今後の景気回復に期待するものの、悪化するとの見通しも多い。
そのため燃料油の販売見通しでは、電力用C重油が増加するものの、他油種は増加することは見込めないのが実態である。C重油の増販は、原発事故により石油火カヘシフトし
たためであり、一過性のものである。石油火力も、新増設を認めていないため、増販にも限界がある。現在、審議中であるエネルギー計画の見直しで、エネルギーのベストミックスが議論されているが、電源構成で原発を現在の30%からどこまで引き下げるのかがポイントとなる。同時に化石燃料でカバーするが、うち石油火力の構成比がポイントとなる。
現在、電力企業への石油の供給は原油の生だき、C重油の輸入で対応しており、国産のC重油が増加していないため、原油処理は増加していない。各社は、できるだけ輸入で対応する方針で臨んでおり、C重油の増産により、他の油種が供給過剰になることを回避している。そのため、電力用C重油が増販になっても、石油製品需給はバランスを保っているが、稼働率は低迷している。上期の原油処理は6・4%減、10月は6・2%減となっている。精製部門、粕製会社からみれば、減産は、精製コストが回収できず、業績は厳しい。その分、石油製品のマージンの確保が望まれる。一方では元売2ヵ所の製油所(千葉、仙台)が操業を停止しており、供給不足の企業もあることから、バラツキが生じている。
また、灯油在庫の積み増しもあり、灯油の増産でガソリンが供給増となり、夏場は市況が下落したが、ここにきて市況是正に取り込んでいる。
ガソリンの上期販売は4・4%減、10月も1・5%減とマイナスとなっている。ガソリン販売は省燃費車の普及、若者の車離れ、ユーザー節約などで減販が続く。新車は燃費が改善されており、今後は増販が見込めない厳しい見通しとなる。そのため減販を前提にSS経営に取り組むことになるが、適正マージンの確保が求められる。
軽油の販売は、震災特需もあり微減に治まっている。軽油の場合は、SSでの販売が少なく、インタンクの大口が多いため、SS経営には寄与しない。灯油販売も都市部のSSでは少なく、やはりガソリンでマージンを確保することになるため、ソリン市況を是正して利益を確保することになる。