日刊ニュース

2011.12.09 のニュース

エネ計画見直しで論点整理 ー原発は一定比重を維持すべきー

 総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会は6日に開催され、新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた論点整理がなされ、事務局からの説明を受けて審議された。冒頭、枝野経産大臣が『今までの議論を踏まえて、この場でひとつの方向性を示して欲しい』と挨拶をした。今後は来年春」を目途にベストミックスの選択肢を提示し、来夏に新しい
エネルギー計画を策定する。
 今回の議論は、3月11日に発生した東日本大震災を機に、福島原発事故を踏まえて、昨年6月に策定した現行のエネルギー基本計画をゼロベースで見直しすことになり、10月から審議に入ったものである。
 ポイントとなるエネルギーのベストミックスは、原発事故を踏まえてエネルギー構成を見直す必要があり、その方向性としては、①社会インフラの改革をも視野に入れた省エ
ネルギー・節電対策を抜本的に強化する、②再生可能エネルギーの開発・利用を最大限加速化させること、③天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を有効利用すること(化石燃料のクリーン利用)、④その上で、原子力発電への依存度をできる限り低減させること、を基本として、今後議論を深めていくことで概ね見解の一致を得たとして、とりまとめている。
 省エネルギー・節電、再生可能エネルギーの開発の加速化、天然ガスシフトの推進を実施、などの成果を見込んで数量を加算し、その上で原発の依存度を低減されることにしている。「反原発」ではなく、「減原発」の方向を示している。
 焦点の原発の位置づけでは、すでに7月のエネルギー・環境会議(内閣府)で基本理念として「反原発と原発推進の二項対立を乗り越えた国民的議論を展聞する」ことが掲げこ
れていることから、「できるだけ早期に撤退すべきとの意見も少なくなかった」としているが、「やはり戦略的判断として一定比重維持すべきという意見も出た」と両論を併記している。さらに「資源小国の日本としてエネルギーの選択肢を安易に放棄してよいのか」との問題提起もあったことを加えている。
 今後も建設的な議論を進めていくことにしている。エネルギー源には一長一短があり完璧なエネルギーは存在しない。原発のコスト、安全性の確保はもとより、経済・雇用、エネルギー安全保障、温暖化への影響、国際動向を勘案して総合的かつ時間軸を踏まえて検討が必要である。また、現在は状況が激動しており、技術進歩、資源価格などの不確実性を踏まえ、定期的な見直しを行なうことが必要である。
 なお、ベストミックスを定量的に示す場合は、その性格(コミットメント、努力目標、想定など)を明らかにする。2030年に向けたエネルギー間の構成比は、今後に議論することになる。
 審議では、この論点整理は、従来の霞ヶ関文学的な表現となっており原発推進を目論んでいるとの批判もあったが、大勢としては原発政策(見直しが必要としながら、平和利用
としての国際的責務から、「一定比重を維持する」との方向でまとまる方向にある。今後はエネルギー・環境会議、原子力委員会などとの調整をはかりながらエネルギー基本計画を策定する。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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