日刊ニュース

2011.12.12 のニュース

年末に向けて市況は横ばい推移 ―原油はWTIと中東産との価格差が縮小―

 石油情報センターの週動向調査(5日)によるとガソリンは平均で143円60銭/Lとなり前週に比べると10銭の値下がりとなった。四捨五入すると144円となり、3週連続の横ばいとなっている。軽油も124円の横ばい、灯油もSS店頭が89円、配達が96円で横ばいが続いている。
 調査価格でみると市況は安定して推移していることになるが、ガソリンは、年末商戦に入ったこともあり小幅であるが下落傾向となっている。首都圏の街道沿いでは一時140円に乗せていたが現在では140円を割っている。
 石油製品の販売は、電力向けの重油、原油を除き減少している。ガソリンも3~4%の減少となっており、販売減が続くと販売業者間にもあせりが出て、価格競争が展開されることが懸念されている。11月で仕切価格が値上がりとなったため、末端市況は値上がりとなったが、ここにきて下落傾向をみせている。中旬から市況立て直しをはかることも見込んでいたが、このまま市況維持で年末まで対応することになりそうである。
 軽油もSS店頭価格はガソリンと連動して、横ばいで推移している。販売価格は124円となっており、ガソリンの144円に比べると20円の価格差がある。ガソリン税と軽油引取税の差であり、税引き後の中身価格は、ほぼ同額となっている。軽油販売は、被災地で復興のための重機の稼働増加といった震災特需もあり、増販となっているが、全国的にみると横ばいか、微減となっている。
 灯油は、これからがシーズン入となるが、SS店頭価格は90円。配達価格は100円~110円相場となっている。灯油ストーブが増販となっているため増販の期待が強い。
 元売各社は、東日本大震災の影響で東北地方の安定供給を優先して在庫を早めに積み増ししており、在庫水準は、前年に比べると高い。そのため暖冬になると、供給増が心配されるが、関東地区が冷え込んだこともあり、今のところは需給バランスを保っている。
 一方、原油価格の見通しは難しいが、高値で推移しそうである。WTIが値上がり100ドル台に乗せているが、中東産が108ドル~109ドルの横ばいで推移している。為替も77円~78円/ドルの円高となっているが、コスト面では安定しており、仕切価格は、ほぼ横ばいとなっている。
 そのため大きな変動もなく、このまま年末まで推移しそうであるが、中東情勢もイランの核問題で欧米との対立を深めており予断を許さない。一方では、ギリシャ、イタリアなどの欧州の財政危機、アメリカの景気回復の遅れも心配されており、先進国の石油の需要は伸びない。中国、インドの新興国の需要増加も鈍化してきた。さらにリビアが原油生産を回復してきたなど原油需給を緩和させる要因も残っており、見通し難となっている。
 WTIは100ドル、中東産は110ドル程度で推移しており、双方の価格差は10ドルとなった。夏場は29ドル差であったものが、価格差が縮小されてきた。これにより、WTIはアメリカの国内市況を反映するにとどまっていたが、ブレント、中東産との価格差が縮小され、国際相場としての機能を発揮することになりそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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