日刊ニュース

2011.12.16 のニュース

反原発、推進の両論を併記 ―最終的には経産大臣が判断―

 総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会は12日に開かれ、「エネルギー基本計画」の策定に向けた論点整理の改訂版を審議した。これまで「エネルギーベストミックス」という表現を用いたが、「ベストミックス」は、政策を強く誘導するとの見方から『ベスト』を削除して、「エネルギーミックス」を採用した。前文では、「新たなエネルギーミック
スとその実現のための方策を含む新しい計画の議論に10月から着手した」となっている。
 焦点となる望ましいエネルギーミックスの方向性では、具体的手段や時間軸について様々な意見があったが、①需要家の行動様式や社会インフラの改革を視野に入れ、省エネルギー・節電対策を抜本的に強化する.②再生可能エネルギーの開発を最大限加速させる、③天然ガスシフトか始め、石化燃料を有効利用する、④原発への依存度をできる限り低減させることを基本的方向として、「今後議論を深めていくことについては概ね見解の一致を得たと考えられる」としている。
 この『④の原発への依存度の低減』の表現に対しては反対意見もあり「できるだけ早期に撤退すべきとの意図が少なくなかった」と反原発の意見を付け加えている。一方では、「エネルギー安全保障並びに原子力平和則用国としての責任を果たすために、一定比重を維持すべきという意見も心なからず出された」と推進派の意曰を入れており両論併記となっている。
 原発を巡っては、委員のメンバー構成からみて対立が予想されたもので、改訂版では「まず、原発の依存度低減のあり方を議論すべき」、「社会的費用を算定し、事業者が負担する仕組みを作った上で事業者の判断に委ねるべきである」、「安全規制等の進捗を見極めるべきで、性急にどちらかの結論を出す必要がない」、「再稼働については、住民が納得する再稼働条件を明確にすべき」という意見も追加されている。
 この原発の中長期の位置づけが焦点となるが、主な意見として反原発派からは、「原発ゼロの社会を目指すべきである。これを無視して原発推進を図ることは、民主主義の否定であり、国際的な信頼を失う」(阿南委員)、「事故の巨額なリスクを勘案すれば、原発をやめるコストよりも、得られるベネフィットの方が大きい」(大島委員)、「脱減発の期限は市場(事故リスクを織り込んだ保険料)と民主主義(国民投票)で決めるべきである」などの意見が述べられた。一方、原発推進派の意見として「資源小国の日本でありエネルギー選択肢を放棄すべきではない。バックエンドの見通しが立たないのであれば、原子力は2050年ぐらいまでは過渡的なエネルギーにとどまるのではないか」(橘川委員)、「原発政策は見直しが必要である。それでも国際的責任として専門人材を保持すべきである。戦略的判断として一定比重維持すべきである」(寺島委員)、「安全技術が進化していることを認識すべきであり、原発縮小による供給制約、国際的な影響力の低下を考えるべきで、2030年以降も一定規模を維持すべきである」(田中委員)などを掲載している。
 このように対立した意見の調整は困難で、さらに重点的に審議すべきとの案もあるが。最終的には経産省大臣の判断に委ねることになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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