2011.12.20 のニュース
原油安。2大強者の責務。
消費者サイドに立っている我々SSは、これまでもたびたび高価なガソリン、高価な灯油による消費節約行動を見つめてきた。時には原油価格が、異なる場面では税額の多寡が影響し、お客様の買い溜めと買い控えの購買行動である。
1ヵ月サイクルが常識だった我々向けへの卸改定が、現在の週仕切り方式が標準となって、我々に身に付いた悪癖がある。じりじりと安値に引きずられ、せっかく卸価格に連動させてリセットした小売価格を下方修正することが多くなっている。多くなった理由は、概して売れ行き不振だ。
残念ながら大震災以降、周辺の競合安値の引力に最も機敏に反応するのが、特定の元売子会社SSや広域事業者SSである。小売市場において、本来、強力な牽引車となる実力を有する彼らが、地域小売市場において、二番風呂の王様、と揶揄される姿は、恥ずべきである。
エネ庁の製品別の供給ルート別シェアの推移で明らかなように、この両者は記録が残る長期間にわたってシェアを高め続けている。店舗力、運営力、価格訴求力、さらには元売との連携。これらのいずれも比較優位にある両者だからこそ、こうした履歴があり、そうした実力によって、より多くのお客様から支持されたのだろう。
ところが、これを一般の地域SSの視点で捉えると、本来は地域事業者SSに帰属していたお客様を、じりじりと奪っていった歴史となる。二番風呂の王様と呼称されるようなSSと同一商圏内の一般SSの視点では、略奪の歴史そのものに映る。大震災以降、一般の地域SSの多くは、減退が顕著な市場規模の推移以上に、その身を削り細らせている。細った身の一部分は、両者に移管・帰属したケースも多いだろう。
引き下げ、値下がり、軟化、急落。年末年始商戦を控えて、景気の悪い語句が目立つが、情報として、これをお知らせする責務を「ぜんせき」は担っている。原油や卸の値下がりは決して悪い情報ではない。これらのシグナルを、経営者がどのようにSS店頭で体現させるか。これこそが経営手腕だ。
その経営手腕を発揮する意欲を高める牽引車として、小売市場における強者である両者は、自らが小売市場における責任を果たす心意気を示してほしい。年末商戦を支える責務が双肩にかかっている。