2011.12.21 のニュース
今年の重大ニュースは東日本大震災 ー次いでエネルギー政策見直しー
石油連盟は16日、恒例となっている2011年を回顧した重大ニュースを発表した。トップは3月11日に発生した東日本大震災となった。次いで、震災を受けてエネルギー政策の見直し、電力用燃料の安定供給、北アフリカ・中東における民主化の動き、エネルギー供給構造高度化法に基づく設備廃棄に向けた動き、などがあげられている。
何と言っても震災の発生が、石油業界に与えた影響が大きく、日本経済を直撃した。08年8月のリーマンショック以来の経済活動の低迷となり、石油需要は減少した。
震災の発生で製油所、油槽所、SSが被災し、石油製品の安定供給に支障が生じる状況が続いた。震災発生直後に、石油連盟では内部に緊急本部を設置して安定供給に対応した。電気・ガスという系統エネルギーは供給不能となったが、石油は分散型エネルギーの特性が活かされ関係方面から緊急供給の要請を受けた。この要請を石油業界が一丸となって対応し、重要拠点への緊急供給を実施、早期の供給回復に取り組み、石油がエネルギーのラストリゾートとしての役割を果たした。
震災で東北・関東の製迪所、油槽所が操業を停止(現在も2ヵ所で停止中)したこともあり、一時は石油製品の供給が止まり混乱したが、電気・ガスに比べると短期問で復旧した。SS店頭では、ガソリンが不足となり一部では混乱したが、ローリー輸送の増強などで対応したことで2~3週間で緊急事態を脱した。
震災による福島原発事故が発生したことが契機となり、原発政策を含めてエネルギー政策の見直しの議論に入っている。現在も総合資源エネルギー調査会、内閣府のエネルギー・環堕落で審議が行なわれている。来年夏には報告書を取りまとめるが、原発は縮小の方向となり、原発の不足分はLNG、石油、石炭などの化石燃料でカバーすることになる。エネルギー政策の見直しでは、その中でも石油の安定供給対策は、別途、経産省が、叩き台を提示して有識者会議で審議しており、石油の安定供給を最優先すること、石油か基幹エネルギーと位置づけることなどを提言している。
さらに、有識者会議では、緊急時の石油の安定供給確保策として、①国による石油製品備蓄の増強(4日分)、②製油所、油槽所の災害対応での強化、災害対応型SSの導入の増強などが識論され、来年度予算要求に織り込まれている。
電力向けの燃料供給(原油、C重油)については、石油業界では万全の体制で臨んでいる。電力会社も、当面の供給は原油、C重油を輸入増で対応しており、国内生産増となら
ず、国内の石油製品需給はバランスを保っている。
設備処理問題については、製油所が災害を受けたため、エネルギー供給構造高度化法に基づく設備処理は、先送りすべきとの見方も出た。だが、昭和シェル石油は東亜京浜製油所扇町工場の操業を9月末で停止。出光興産は2014年3月末で徳山製油所の原油処理を停止することを決めた。JX日鉱日石エネルギーは、20万バーレル/日を処理することを発表しており、計画を未発表のコスモ石油、東燃ゼネラルは、まだ時間的な余裕があるとはいえ、対応を迫られている。