2011.12.29 のニュース
越年の課題②石油政策の見直し
今年は東日本大震災をはじめ天災が相次ぎ、石油業界も様々な面で甚大な被害や影響を受けたが、反面、石油の不可欠性、円滑なローリー配送の重要性、SSの多様なインフラ機能、そして一連の安定供給体制=サプライチェーンの維持に関わる“石油人”の仕事がどれほど頼られ、必要とされているかを皆が体感した。我々には、地域社会や消費者の期待に応える責務がある。そして同時に、生きる権利がある。脱石油政策、SSの減少が今後もいびつに続くことが望ましいのか。これを問いたい。
いま、エネルギー政策の見直しが行われている。安定供給、地球温暖化問題への対応、コストバランス。石油需要の減少が確実視される中で、電力需要は当面伸び続ける見通しにある。政府は原子力発電の低減へと方針転換したか、エネルギー別の発電コストを試算したコスト等検証委員会報告によると、原発、石炭火力、LNG火力はほぼ拮抗、太陽光などの再生可能エネルギーも好条件が揃えば中長期的には競争力を持ち得るとした。一方、低燃費化やエネルギー転換に伴い需要減が進む石油は、発電コストでも劣勢と評された。
温暖化問題でも逆風は収まっていない。京都議定書の延長が決まり、日本は2013年以降の不参加を表明、自主的な取り組みを続けるが、25%削減目標は掲げたままだ。地球温暖化対策税を上乗せすると石油石炭税の税率はガスの5割増、石炭の2倍。車体課税の軽減とエネルギー課税の強化をバーターするかのような牽制まで一部見られるなど、石油はまるで悪玉、「次世代車でなければクルマにあらず」のごとき税制が画策されている気もしてくる。
こうした状況下で経産省は、資源・燃料の安定供給確保のための先行実施対策を提示。下流部門では、大震災を教訓に石油サプライチェーンの維持・強化を謳い、地域中核SSの整備による災害対応力の向上、情報収集体制の強化等を例示した。停電回避の諸対策が電力料金に上乗せされているのなら、石油のセーフティーネット整備も不可欠。全石連が提唱する緊急時石油流通円滑化法(仮称)は、緊急時における石油製品の迅速な最適配分に加え、自治体と連携した備蓄、公共施設への自家発電設備導入などを包括している。新・エネルギー基本計画の策定は来夏の予定。石油復権への理解を広める好機を逃すことはできない。