2012.01.11 のニュース
日本からの撤退計画はない ―EM保有の東燃株式シェアは減少―
エクソンモービル、子会社の東燃ゼネラル石油(東燃)の株式を50.02%を保有しているが、この保有している株式の売却で調整が行なわれている。東燃が自社株を買い取り消去する方策がとられる。エクソンモービルは売却で得た資金を他の地域への投資に回すことになる。
東燃が自社株を買取り、消云することで、株数は減少することになるため、同時にエクソンモービルの株数が減少し、株式のシェアは減少する。東燃が自社株を買い取るための資金負担もあり、株価は下落している。東燃の配当は1株当たり年間38円と高配当であり、石油株の中では高値となっている。自社株の消却が決まった場合に、株価の動きも注目されている。
自社株の買取り消去は、通常行なわれており、資産効率化を推進し、現金(利益)を株主に還元するため実施されているものであるが、株数が減少することにより、既存株の価値も上がることになる。株式の消去が、今後の東燃の株価、業績に与える影響を予測することは難しいが、新しい状況の変化に対応した動きがでてきた。
エクソンモービルが最終的には何%を保有するかは、決まっていないが、今後も筆頭株主の地位を確保するため、エクソンモービルのブランドは残る。しかし、東燃に対する役員構成、経営への関与については変化する。また、販売会社(元売)であるエクソンモービルが、現在のままの体制で継続されるのか、今後、東燃に組み込まれるのかなどの計画については発表されていない。
親会社のエクソンモービルコーポレーションは「エクソンモービルが日本から撤退する計画はないことを表明する。現在、東燃と資本構成について検討中である。未だ最終的な
結論には至っていないが、エクソンモービルが日本から撤退する計画はなく、今後もエクソンモービルのブランド、製品を利用できる」とコメントしている。
だが、系列傘下の代理店、特約店は、明確な方針がでないことを懸念しており、最終決定を待つことになる。さらに「日本では118年以上にわたり、事業を行なってきた。こ
の間、革新を続け、変化する事業環境に適応し社会の要請に応えてきた。今後も、日本における競争力を強める」として「日本から撤退しない、ブランドが残る」と強調しているが、日本市場に対しての対応が変わりつつあるとの見方もある。
エクソンモービル、東燃を巡っては、南西石油の売却、キグナス石油の三愛石油への売却など、日本での事業縮小が具体化している。その背景には国内の石油需要は減少の一途を辿っており、市場が縮小している状況がある。需要減の供給増から東燃の設備処理問題を抱えており、様々な憶測が出ている。このような事業環境の変化に対応するため新しい戦略を策定中であり、その一環としての再編成を検討している。
東燃の設備問題は、エネルギー供給高度化法により、過剰設備の削減が指摘されているもので、2014年3月末までの期限があるが、その決断が迫られている。設備処理問題に対応しての供給拠点の見直し、今後の元売間の融通の再検討などもあり、その結果、販売網の再構築、整備なども課題となってくる。