2012.01.13 のニュース
予算関連法案を国会上程で作業 ―製品の国家備蓄でJOGMEC法改正―
来年度の予算要求に基づき、経済産業省は関連法案の策定作業に入っている。予算関連法案では、備蓄法、JOGMEC法、石油需給適正化法の改正となる。これらの法改正を一括にて国会に上程するが、国会は、消費税の増税を巡って、与党内部、与野党の対立を強めており、解散も予想される状況にある。
来年度予算は3月末までに成立を期すが、予算関連法案も2月には上程、成立を狙うが見通しは不透明である。有識者会議でも審議されたが、緊急時に備えて、石油製品の国家備蓄の積み増しとなる。来年度予算要求で織り込まれており、今後、4日分を積み増しする計画となっている。来年度は10月頃から、まず1日分を積み増す計画であり、予算措置を講じることになる。
現行の備蓄法は、中東などの政情不安、局地戦争による原油の供給途絶を想定して原油を国家備蓄として実施してきたが、東日本大震災では、その直後に石油製品の供給不足が表面化した。その対応の遅れを反省とし、石油製品備蓄が重要であることが認識され、国が石油製品で備蓄することになった。
石油製品備蓄となると、製品が劣化するため長期で備蓄することは難しく、民間タンクを活用することになる。石油業界としても需要減少でタンク能力が過剰となっており、有効利用が可能となるとして歓迎している。通常の商業活動の範囲内で在庫を持つことになる。そのため、緊急時になれば、まず国家備蓄の石油裂品在庫を放出することが可能となり供給が確保される。
国家備蓄の管理・運営はJOGMECが行なっており、そのためJOGMEC法が改正となる。JOGMECは石油開発支援として、石油開発企業に対して出資を行なっているが、その枠を拡大することになり、現行のエネルギー特別会計のほかに、産業投資枠(財源はNTTなど配当)を活用することになり、その受け皿ともなる。
JOGMECの出資に対しては、来年度予算で276億円(今年度は85億円)、3次補正予算で203億円。来年度の産業投資で400億円が計上されており、合計すると879億円となる。
震災を機に、石油・天然ガスの仕給体制の強化、原発政策の見直し、火力発電による電力供給の強化など、天然ガスの需要の増大もあって、上流権益の確保、ガス田の買収などに予算を計上している。円高メリットの活用もあって、予算は大幅な増額となっている。さらに純国産エネルギー源である地熱開発に新規で91億円を要求、温泉分布や地質構造を調査する。新規の産業投資出資で60億円で、民間事業者の調査井の掘削などを支援する。JOGMECの事業に新しく地熱事業が加わることになり、法改正となる。天坊石油連盟会長が「日本は火山国であり油熱資源は豊富であり、地熱開発に積極的に取り組むべきである」と要請したことが、実現した。
また、石油需給適正化法は、政府が国民生活に支障が生じるおそれがある場合に、閣議で決定、経産大臣が生産、使用を制限できることになっているが、これも外部要因による石油の供給不足が前提となっているため、国内の災害に対応できるように改正する。