日刊ニュース

2012.01.17 のニュース

イラン見据えたSS経営

 ごく短期ではイランを起点とするホルムズ海峡問題が、年を通してはシュールガスが、それぞれ今年の中枢に座るエネルギーの話題だ。前者は、すでに年末年始の原油相場をじりじり高める影響が出始めているし、近く、着火する可能性すらある。
 いつでも潤沢に供給され、在庫切れを心配する必要はゼ口、という平時とは異なる体験を、我々は3・11直後に経験したばかりだ。被災を免れたSS視点でも、未曾有の大震災が残した深い傷の意味が理解できたから、供給元である元売に罵声を浴びせることなく、在庫切れが迫っても、SSはひたすら待った。ガソリンや灯油を求める長い車列の起点となっている店頭に、ローリーが到着した際の安堵は、まだ忘れられない。
 ただし3・11では、オールジャパンで見れば、原油・製品在庫も潤沢にあった。被災地以外で問題が発生したのは、物流の制約と顧客の殺到というミスマッチの結果といえる。
ホルムズ海峡が絡んだ場合、安定供給の前提条件は、その根底から覆る。
 中東からの原油の安定供給が途絶えた場合、我々石油業界には2度の石油危機と湾岸戦争の計3回、過去に経験している。現象としての価格の上昇がまず発生する。途絶が短期で収束しない場合は、製品供給力を有する元売への信頼が高まる。
 すでに価格の上昇はじりじりと始まっている。ところが、国内小売市場では、ホルムズ海峡の波高か高まる渦中にありながら、それでも粗利を削って集客にいそしむ量販店がいる。精製元売本社の緊張感とは関係なく、近域から値下げの口実を探しまくる子会社SSがいる。
 3・11でも証明されたように、平時では身を削る競争環境に放置されている我々石油業界は、有事の際は、身を挺するような勇断と実行力で、安定供給を最優先事項とする業界だ。
 わか国の原油の1割弱がイラン産だ。約9割が中東産だ。まず、1割の輸入が止まることが国策として決まった。9割の供給ルートには危機が迫っている。備蓄は民間との合計で200日分あるとされるが、原油価格が高騰している事実は、有事の際は大きな影響が避けられない、というシグナルである。
 同一商圏内の量販SSの安値よりも、原油に差し迫っている現実問題のほうが、我々にははるかに大きなリスクである。そうした理解で、SS経営のリセットを急ごう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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