日刊ニュース

2012.01.20 のニュース

パイプライン整備に取り組む ―コスト負担、政策誘導策を検討へー

 天然ガスシフト時代の到来で広域パイプラインの敷設、枯渇ガス田を活用した大規模地下貯蔵施設の整備を推進するための審議が開始された。現在、審議中のエネルギー基本計画の見直しが、総合エネルギー調査基本問題委員会で議論されているが、総合エネルギー調査会の下に「天然ガスシフト基盤整備専門委員会」を設置して検討を17日から開始した。初日は枝野経済産業大臣が出席「天然ガスシフトは重要な課題であるため検討して欲しい」と挨拶した。今後は毎月1回程度開き、5月頃には報告書を取りまとめる。
 このパイプライン構想は過去にも議論されたが、民間主導であったため、コストの負担増と、制度の整備が伴わず問題提起に終わり、先送りとなっていた。今回のエネルギー政策の見直しという立場から新しい方向を打ち出すことになる。
 ガスパイプラインは、東日本大震災でも地震に強いことが実証されている。一方、原発の事故、大規模停電などから電力システムの限界が明らかになった。現在、審議されている、望ましいエネルギーミックスを実現するため「天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を活用する」との方向が論点整理で提言されている。
 広域の天燃ガスパイプラインは石油資源開発の新潟~仙台の仙台ライン、札幌~勇払の勇払ライン、国際石油開発帝石の新潟~東京の東京ライン、その他、関東、中部、近畿圏でガス事業者により整備されているが、その規模は小さい。ガス事業者によるLNG基地の整備は進展しているが、LNG基地間を連携するラインの整備は遅れている。これは小規模のガス事業が多いこともあり投資採算性を勘案したためである。パイプラインの整備ではコストの負担増が課題となる。ガス需要の見通しが難しく、投資額が回収できるのか、中小業者が多く資金調達の困難性などの点があげられる。さらにパイプラインの建設となると地元住民の反対もあり、エ事に時間がかかるなど、新しい制度の整備も必要となる。
 そのためには新しい手法が求められ、官民の役割分担が検討される。国が整備すべきか、従来通り民間企業(地方自治体)が実施すべきかを再確認することになる。民間主導の場合でも国として全体方針を示し、特別な政策誘導策を設けるなどの関与が必要か、また、国による民間主体間の調整が必要か、多様なエネルギー事業者が参加できるようにすべきではないか、などの問題点があげられている。民間企業ではコスト負担に限界があるため、政策誘導を求めることになる。また、整備コストは「どの程度の整備に、どの程度のコストが見込まれるのか、そのコストは誰がどのように負担すべきか」が問題となる。コストをユーザーが負担するとなると、ガス料金の値上げと料金改定の弾力的な運用となる。国の政策誘導となると、減税措置、規制緩和となる。資金的な支援となると税金の投入となり、財源を確保する方策の検討も必要となる。
 地下貯蔵施設の課題としては、供給毎の熱量の違い、枯渇ガス田を利用する場合の法制上の位置づけ、整備の妨げとなる規制の緩和が問題となる。現在、石油資源開発、国際石油開発帝石、JX日鉱日石開発が新潟で実施しているが小規模である。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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