日刊ニュース

2012.01.24 のニュース

石油流通網を守る全体協調へ

 元日、鳥島近海を震源とするM7の広域地震が発生した。震度1以上を記録したのは北海道~中国の33都道府県におよび、東日本では改めて警鐘を鳴らされた方々も多かったのではないか。
 大震災から10ヵ月が経過したが、気象庁によると、昨年3~5月に全国いずれかの地点で震度1以上を計測した地震発生回数は5991回で、うち震度4以上が228回だった。昨年1年間の合計では9723回、うち震度4以上は316回だから、その6~7割強が発生後の3ヵ月間に集中している。最近は頻度が減ってきたが、今年も19日現在で216回、うち震度4以上が4回起きている。01~10年までの年平均は1720回なので、まだまだ予断を許さない。
 政府の地震調査委員会が今月再評価した主な地震の発生確率は、東海地震が「30年以内で87%」から88%に、南海地震は「10年以内で10~20%」から20%程度、択捉島沖は「30年以内で60%程度」から60~70%に高まるなど、海溝型地震だけを見ても油断できない。
 いま、首都圏では帰宅困難者対策のあり方が再検討されている。3・11の混乱は、首都直下地震などに備えた対策を、具体化させる必要性を石油販売業界にも突きつけた。内閣府によれば、当日の帰宅困難者数は1都3県と茨城南部で515万人に達したという。東京都は一斉帰宅を抑制する方向で検討中だが、不測の事態は起こり得る。徒歩帰宅者の立寄り先では駅やバス停、コンビニや飲食店などが上位だったが、その理由は明快。一方、SSは0.2%と一見少ないが、立ち寄らずともSSを目印に歩いたという声は多数聞いているし、いざとなれば燃料給油やサポート施設として、SSが大いに頼られることは十分に予見できる。
 販売業界・業者は、帰宅者や事業者への対応も求められることを過去の大災害からも教訓として得ている。実際、大震災後の混乱期を通じた親切な仕事ぶりが認められ、顧客を増やしたSSは少なからずある。災害対応力の強化は、地域拠点としての存在価値を高める。物的・人的両面での備えや安全管理、事業継続の重要性とともに、収益力の向上も欠かせない。地域・地元に根差した情報量や人脈は最後の砦だ。社会や顧客の理解を広げるために、サプライチェーンを死守する全体協調と結束が、いまこそ求められている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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