2012.01.25 のニュース
石油火力の復活を狙う ―先行しているガスシフトに見直しをー
石油連盟は、石油のサプライチェーンの維持・強化、石油の安定供給の確保に向けての第3次提言をまとめた。総合資源エネルギー調査会でのエネルギー基本計画の見直しでは、原発の縮小と、これに替わる石油火力、LNG火力へのシフトなどの本格的な審議に入るため、石油火力の術活などの握言をまとめたもの。
第3次提言の基本的考え方は、①東日本大震災における石油の緊急時対応力を生かし石油利用を維持・推進する、②緊急時のバックアップ電源として石油火力を安定的に稼働させるべきである、③エネルギー間のイコールフッティングを確保すべきである、としている。石油火力を復活させる判断は電力業界であり、その誘導策を政府に要請している。
第1、2次提言では、震災を機に石油は基幹エネルギーとして重要であると位置づけ、石油のサプライチェーンの維持・強化を要望した、その結果、補正予算と来年度の予算要求に製油所・油恒例の強化、災害対応型SSの設置、石油製品の国家備蓄の増強など短期的な対応策が織り込まれた。
第3次提言では中長期の政策的な問題をとりあげている。総合エネ調の審議は、これから本題の原発政策、電力の供給システムの改革(配送電分離など)、エネルギーベストミックスのあり方などの議論となる。
石油については、過去40年間も脱石油政策が推進され、その背景では、原発の拡大推進となったが、今回の福島原発事故によって、原発政策をゼロベースで見直すことになった。
同時に石油は、有限であり近い将来枯渇するという大前提があった。しかし、最近はシェールガス・オイルなどの非在来型の石油資源の開発が進み、石油の埋蔵量も急増しており可採埋蔵量は150年以上と飛躍的に増加している。石油資源枯渇のリスクが低減され、改めて石油の基幹エネルギーとしての位置づけが重要視されると強調している。
電気エネルギーは今後、供給不足が懸念されるため節電、省エネルギー、ピークカット対策が実施となるが、これに替わって分散型エネルギーであり緊急時対応力に強い石油の利用を維持・強化すべきとしている。
具体的には、①高効率の給湯器の導入、②灯油利用システム(セントラルシステム)の普及、③公立小中学校・公民館などへ災害時対応に優れた灯油利用機器の導入と平時からの利用、④石油系燃料の自家発電機の利用促進、などをあげている。
輸送部門では、石油(ガソリン、軽油)と他の自動車用燃料・エネルギーとの公平性を確保すべきであるとして、①EV・CNG車(天然ガス車)などの特定の車に限定して導入に際して補助金を支給しているが、低燃費のガソリン・軽油車も拡大すべきである、②CNG・EV(電気)は、消費する電気、ガスには課税されていないが、ガソリン・軽油引取税は課税されており、燃料に対して課税には公平をきすべきである、と要望している。
また、これまでの審議で原発に替わって天然ガスシフトが先行しているが、LNGへの転換に対して燃料転換補助、ガスコジェネ補助があるなど、天然ガスのみを優遇する政策は見直すべきである。優遇制度の見直しを求めるとともに、イコールフッティングの確保を要求している。