日刊ニュース

2012.01.31 のニュース

双方向型災害時協定に向けて

 「平時の官公需調達において地元SSへの配慮を」という主旨の条項を盛り込んだ災害時燃料供給協定が実現した。12月26日に北石連と北海道庁が締結した「災害時における石油類燃料の供給等に関する協定書」である。道は「災害時に北石連などが燃料供給能力を十分発揮できるよう、中小企業者等に対する受注機会の確保に関する推進方針に沿って、文書により分離・分割発注の推進等について(市町村に対し)配慮を要請するものとする」との条項を盛り込み、さらには市町村長に対し知事名で、SSの厳しい経営環境を踏まえ道内中小SSの受注機会の確保・拡大に一層の配慮をするよう文書で要請した。
 大震災を契機に、全国各地の自治体が地元石油組合に対し災害時燃料供給協定の締結を要請するケースが増え、実際に次々に協定が結ばれている。しかし、これらの協定は、災
害が発生した時に自治体の要請に業界が協力するだけの一方通行型がほとんど。いくつか、自治体と石油組合の間の情報交換の必要性を盛り込んだ条項はあるものの、平時における地元SSからの調達などを盛り込んだ協定はなかった。したがって、官公需適格組合の活用や分離・分割発注の推進まで踏み込んだ条項を明記したのはこの北海道が初めてだ。
 近年、自治体の多くが官公需を競争入札に転換し、燃料でも価格競争力のある大手業者が落札するケースが増えた。東日本大震災では、これらの落札事業者が納入できなかったことから、自治体は石油組合に要請、地場の組合員SSと連携して病院や緊急車両などに供給した。ところがこうした需要は需給が落ち着くと、再び競争入札に戻り大手業者が落札していった。
 業界からは「災害時だけ頼られて、普段は地場SSへの配慮がないのはいかがなものか」「競争入札で県外大手に発注していたら地場SSそのものがなくなってしまう」という声が上がっていた。全石連も自治体との災害時協定の締結や見直しに際しては、官公需適格組合制度の実効性を担保する仕組みを協定に盛り込むよう、行政・政治に訴えてきた。
 こうした働きかけと北石連の粘り強い交渉によって、双方向型の協定が実現したのである。今後、協定の新規締結や見直しを計画している組合は、これをモデルケースに双方向型災害時協定の締結の実現に取り組んでほしい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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