2012.02.03 のニュース
ガソリン減販、SS減少加速 ―生き残れば安定経営もー
石油統計速報によると12月のガソリン販売は530万KLで前年同月比で1.4%の増加、軽油は296万KLで2%の減少となった。ガソリンの12月販売は夏場の8月の545万KLに次ぐ需要期であり、前年比でプラスとなった。12月から東北地方の高速道路の無料化が実施となったことも増加要因としてあげられる。だが、4月~12月の累計では3.2%減、平成23年の年間では5676万KLで2.8%減となっており、今後もマイナスが続く。
全石連が、今後5年間の予測を年率4.1%の減少が続く見通しと発表しているなど、厳しい状況が続く。今後も減販が続く要因としては、①人口の減少、高齢化により車を利用する人口が減少する、②ハイブリッドなど省燃費車が増加する、③若者のクルマ離れが進む、④EV(電気自動車)の普及に伴いガソリン車が減少する、などの点があげられる。
一方、需要増が見込まれる要因としては、①景気が回復して、個人所得も向上しレジャーブームが再来、車の利用が増加する、②猛暑となり、カークーラーの使用が増加する、などの点があげられるが、一過性のものであり、月単位では前年比で増加するケースもあるが、安定して増加する要因は見当たらない。そのため年率3~4%は減少するとの見通しが定着している。
販売業者も、販売減を前提にS経営に対応しているが、ガソリン販売が減少する以上にSSが減少している実態がポイントとなる。ここを乗り切れば安定経営が見込まれる
とも言われている。同じようなことが、自由化直後にも言われたが、今後の動向が注目される。SS数はピーク時の6万力所から昨年3月末で3万9000ヵ所となり、数年後に
は、半分の3万力所に減少しそうである。東京はピークの3500ヵ所から1000力所強となり、70%減となっている。だが、ガソリン販売の減少のテンポは遅い。ピーク時の販売数量は年間6100万KLであったが、23年は5700万KLで、この間は7%減に収まっている。
SSの減少が大幅であるため、生き残れば1SS当たりの販売数量は多くなり、適正マージンが確保されればSS経営は安定することになる。そのため生き残りを賭けた競争が続いているが、今年は例年と様相が違う。消防法の改正で老朽化したSSのタンクを補強することが義務づけられているため、補強費用が捻出できないSSは廃業することになる。期限が2014年3月末となっているため、補強するか廃業するかの決断をするのは今年中となる。
一方、エネルギー高度化法による元売の設備処理の期限も同じ時期であるため、今年は元売、販売業者とも石油業界にとっては、大きく転換する年となる。今後は精製設備が減少して、需給が適正化され、SSも減少すれば、価格競争がなくなりマージンが確保され安定する、との見方が出ている。このような楽観的なシナリオが実現するか否かは、今後の経過を見ることになるが、自由化後の石油業界としては、初めての転換期を迎える。
元売の設備処理計画は未発表であり、各社の方針の打ち出しが注目されるが、ガソリン販売、SS数は確実に減少するため、ここを生き残れば、新展開が期待できる。