2012.02.06 のニュース
業者、仕切小幅変動で対応難 ―予測外れでタイミング失うー
石油情報センターの調査結果でみると、ガソリン市況は143円/Lの横ばいが続いているが、価格競争が激しい街道沿いでは値上げ、値下げが繰り返されている。街道沿いでは昨年末で値下がり、1月中旬から再度ボトムを143円に乗せたが2月初旬では再び値下がりしている。調査価格は、広範囲を対象にしているため安定しているが、街道沿いの市況実態とは、かなり乖離している。
足元の原油価格も小幅な値下がりとなっており、仕切価格も横ばいから小幅下げとなったこともあり、一時は末端のガソリンの値上げが達成されが、僅か1週間で値下がりとな
った。ガソリン市況対策は、毎月のように実施されているが、安定することは難しい。市況は、放置すれば必ず下落するため、時期をみて値下がり分を是正するよう立て直しを図らないと販売業者は赤字となる。
仕切価格の改訂が週決めで実施されるが、最近のように、仕切価格が小幅で変動していると値上げのタイミングは難しくなる。ユーザー転嫁となると3~5円という単位での実施となるため、販売業者は仕切価格の値上げ分を累計するために様子をみることになる。時間がかかると、元売の出方など予測を誤まるケースも出てくる。最近は、イラン問題によるアメリカの禁輸政策で原油価格が高騰すると予想されていたが、値上がりせず、横ばいから逆に下落するなど、原油価格の見通しも難しくなってきた。販売業者サイドも、原油価格の動向をみながら、業転市況を参考に元売の思惑を読んで対応しているが、最近は見通し難となっている。
原油価格が急騰するケースでは、即値上げで対応するが、最近のように仕切価格が10銭/L単位の小幅な値上げとなると、ユーザー転嫁のタイミングを失うと販売業者が仕切価格の値上げ分を被ることになる。販売業者からは「元売はFAXで毎週金曜日に仕切価格の改定を通告すればよいが、販売業者は即転嫁できないため、厳しい状況にある」との声が出ている。
元売の小幅仕切価格の変動を、その都度ユーザーに転嫁すればよいが、実際の販売価格では、円単位での3~5円の値上げとなるため、10銭単位の値上げはできない。元売の仕切価格の変動に合わせて、販売価格を改定するのが理想だが、現状では不可能である。
元売は仕切価格の週決めの定着、ブランド料の引き上げでマージンを確保しているため、本業の石油部門では黒字となっている。この価格体系の見直しでマージンが確保できることになった。元売は集約され、数が減少したこともあり、需給調整などで安値業転玉の出回りが減少することになったが、販売業界では、依然として価格競争が続いており、市況を安定させる方策は見当たらない。HCなどの異業種、量販店の攻勢などで、価格競争がエンドレスで続いている。週決め制に対して新しいユーザー転嫁策を打ち出し、定着されないことには販売業者は永久にSS経営を健全化できない。
また、灯油などの大口となれば、KL単位の販売であるため、週決めも可能となるが、それでも月平均で決済することになり、1ヵ月間の変動をユーザーに説明して了解をえることには苦労している。