日刊ニュース

2012.02.07 のニュース

EM皮算用と国内市場

 エクソンモービルの日本事業を約3千億円で、その孫会社であった東燃ゼネラル石油が買い取る。EMグループ内の株式移動、東燃ゼネラルが保有する自社株の扱いなど小難しい手はずを経たうえで、この6月から東燃ゼネラルへのEMの出資比率は50.5%から22%へと低下する。EMが筆頭株主であり続けるが、22%保有では単独での普通決議事項も可決できなくなりその掌中にあった経営権を失う。
 ちなみに昭和シェルの約33%がRDシェル、約15%がサウジアラムコ、コスモの約21%がアブダビ系の各外資傘下にある。
 東燃ゼネラルにとっても、エクソンモービルという世界最強の後ろ盾の支えが弱くなる。その代償として、自己完結型の経営の自由と極東石油の半分を得る。直属の親会社だったEMジャパンを傘下に収めつつ、有償で「エッソ」「モービル」ブランドの独占使用権を「10年は維持する」という概況だ。
 これを米EMの視点で数字のみを追ってみると、以下のような側面が見えてくる。
 先週末に時価総額約4180億円の孫会社に、そのうちの約2100億円相当と極東の半分を有する子会社の99%を約3千億円を買い取らせて懐に入れ、結果として米EMは、孫の920億円に相当する22%を手元に残す。2080億円相当を有するEM以外の東燃ゼネラル株主の視点では、差し引きでEMが売却する純資産価値1180億円に対して、これを3千億円で買う絵図になる。現行のEMジャパンの有する人材と極東の半分に対しての評価が、この差額1820億円となる。
 米EMは、前期に1121億円計上した決算変更に伴う原油評価益を含んだハイレベルの純利益の中から、半分の配当を得る。恐らく今期以降の東燃ゼネラルは、財務的には丸裸状態で、厳しさ募る国内市場に対峙することとなる。
 米EMは、この6月からの東燃ゼネラルの22%についても、今後の売却を否定していない。一方の東燃ゼネラル自体が、EM経由で自らの半分の株式を保有する。
 恐らくは和歌山、堺の2製油所のいずれかの廃棄を迫る高度化法への具体的な決断が、自由を得た東燃ゼネラル経営陣の初動となるだろう。さらに、この株式の帰すうが国内市場の台風の目、元売再編の目になる。多くの解説者の予言である。

提供元:全国石油商業組合連合会
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