2012.02.08 のニュース
元売は適正マージンを確保 ―業者、価格競争が続き苦戦―
元売の業績は、製品マージンを確保して黒字となっているが、販売業者はマージンが減少している。そのためSS経営は悪化しており、SSの廃業、撤退が後を絶たない状況が
続いている。元売は集約化か進み、5社体制となって効率化され、仕切価格のほぼ満額を回収している。一方、販売業者サイドはユーザー転嫁ができず、経営悪化からSS数は激減しているにもかかわらず、依然として価格競争は続いている。
元売の製品マージンは、月ごとの原油価格と市況の変動もあるが、ガソリンは10~12円/Lを確保している。以前は、ガソリンの供給増、ナフサの海外市況下落の影響を受けて、ガソリン価格が原油価格よりも安いという異常な状況もあったが、最近では元売は確実にマージンを確保している。そのため赤字は解消して黒字が続いている。
元売では製品マージンを確保するという方針が定着してきたことになる。マージンは原油価格と売値(業転市況、仕切価格)との対比となるが、以前の月決め制の時期には、取引でコストを明らかにしないとの立場をとっていた。当時も10円/L以上のマージンは確保すべきとの指標は存在したが、精製費、販売経費、利益などを加算したものであるため、元売のマージン確保という表現は使っていなかった。
これが仕切価格の週決め制に移行して、業転市況連動からブランド料の加算、原油価格、市況動向など総合的に判断した新・新体系に変動したことから元売もマージン確保を重視してきた。同時にマージン確保論が台頭してきたため、マージンを発表することになったが、数字は出さずにグラフを採用している。本来ならば販売業者のマージンを含めたグロスマージンの確保を必要としているが、今のところは、まず元売のマージンを確保することを優先した方策がとられている。
このような動きに対して販売業者からは、販売業界もマージンを確保できるような末端市況の形成を求めているが対応策はなく反発が出ている。元売に対しては、①安い業転玉を放出しない、②業転市況と系列仕切価格との価格差を縮小すべきである、③価格差の要因となっているブランド料を廃止すべき、などの要望を行なっているが、水掛論に終わっている。規制緩和による行き過ぎた自由化であり、経産省にも政策の方向転換を求めているが、自由化の流れを変えることは難しい。東日本大震災を機に石油の安定供給、石油の役割、位置づけが再認識され、石油対策を審議したが、販売業者への支援は老朽化したSSの地下タンクへの補強のための補助金の支給、災害対応型SSに対する補助など資金面での支援に止まっている。
市況の安定化策、安定供給策については、今まで通り自助努力、自己責任が問われることになる。SS経営を安定化させるには、HCなどの異業種の進出もあって難しい。HCは安い業転玉を購入して低マージンで販売するため販売価格で10円以上の価格差が生じ、系列SSでは太刀打ちができない。新体系がスタートした時点では仕切価格は業転市況に連動したため価格差がなく競争できたが、元売が赤字となり変更、ブランド料を加算することで、元売のみがマージンを確保したことになる。