日刊ニュース

2012.02.10 のニュース

在庫評価益を除くと減益 ―決算、マージン減と減販が影響―

 元売各社の平成23年4月~12月の決算が出揃った。原油価格(ドバイ)の期平均は108ドル/バーレルで前年同期に比べて29ドル高となった。期初は中東・北アフリカ情勢の緊迫を背景に、4月下旬に111ドルから120ドル近くまで上昇したが、5月には欧米の景気減速懸念から100ドル近くまで下落した。その後は、概ね100ドルから110ドル台の前半で推移し、期末は106ドルとなった。為替の期平均は79円/ドルで前年比で8円高となった。
 国内の石油製品販売は、原発事故を要因として電力向け重油・原油が増加したものの、ガソリンなどの他油種は減少した。また、原油価格(上昇によるコスト高の転嫁が遅れ石油製品のマージンが減少した。一方、原油価格の上昇で在庫評価益が発生したため、決算上は増益となったが、在庫評価益を除くと減益となる。
 このような状況で各社のセグメン卜別の石油事業をみるとJXホールディングスの「石油精製販売」(石油化学を含む)は、売上高が6兆6060億円で前年同期比で13%増、経常利益は1592億円で33%増(393億円の増益)となった。原油価格の上昇に伴い、在庫影響(総平均による棚卸資産の評価が売上原価を押し上げた影響)による利益が発生した。この在庫評価益の747億円(前年は153億円の損失)を相殺すると、経常利益は845億円(1352億円)となり38%減(507億円の減益)となる。うち石油製品は552億円(1246億円)で前年比で694億円の減益、石油化学製品は293億円(106億円)で187億円の増益となっている。石油製品では数量減で58億円の減益、マージン減で783億円の減益、効率化で147億円の増益となったが、これを相殺すると694億円の減益となる。石油化学製品はマージン増などで187億円の増益となっており、石油製品の694億円の減益と相殺すると石油精製販売では507億円の減益となる。
 出光興産の「石油製品部門」の営業利益は576億円で前年比で4億円の増益となった。うち在庫評価益が204億円あり、相殺すると372億円(前年は582億円)となり前年比では210億円の減益となった。売上高は原油価格の上昇で2兆6351億円で23%の増加となり、営業利益は4億円の増益となった。うち石油製品のマージン減が250億円、原油価格の上昇に伴う自家用燃料費などのコスト増で45億円のマイナス、販売数量で45億円減の計340億円の減益となったが、合理化、経費削減で130億円増、在庫評価益など214億円の増加で相殺すると4億円の増益となる。その結果、営業利益は前年並みの576億円となった。「石油化学部門」の営業利益は112億円で76億円の
増益となった。
 コスモ石油の「石油事業」は、経常損失が61億円となり赤字となった。前年が241億円の黒字であったため302億円の減益となった。在庫評価影響を除くと197億円の損失となり、前年が241億円の利益であったため前年比では438億円の減益となった。販売量が減少したことと、千葉製油所の操業停止による代替供給コストの負担増で収益が悪化した。「石油化学」は13億円(前年は10億円の損失)で23億円の増益となった。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE