2012.02.13 のニュース
イランと水島から見える価値
JX日鉱日石エネルギー水島製油所。その総面積は318万平方M=約1.8KL四方という広大さを誇る。水島港を挟んで旧・ジャパンエナジー(現・B工場)の20.52万バーレルと、旧・三菱石油=旧・新日本石油精製(現・A工場)の25万バーレル(合併後に能力削減)が向き合う。
両工場の能力は合併前は合計50万バーレルに迫る規模であったが、能力削減後でも日量36.5万バーレル(5.8万KL)を有する。長く根岸製油所に冠されていた「国内最大の製油所」の称号を継承している。
操業開始は1961年で、半世紀以上にわたって、水島地区の鉄鋼・化学・電力の総合コンビナートの中核を成してきている。3系統のトッパーと、高度かつ最新鋭の2次装置群・設備を有し、西日本の石油製品の2割以上を担う能力を有する。さらに、B工場では石油コークス製造装置やコンデンセート精製装置などの最先端研究が行われ、A工場側には中国地方で最大のLNG基地が敷設され、名実ともに最大の総合・最先端エネルギー製造基地といえる。
国の政策誘導に沿って、隣接する三菱化学と旭化成とのコンビナート高度統合生産連携事業=RINGが進行中で、それに向けて、A・B両工場を地下パイプラインで結ぶ計画のための工事中に、その事故は起こった。
石油の起点では、イランリスクが日増しに高まり、原油の大動脈であるホルムズ海峡の波が高くなっている。このことをドバイ原油はその高値で証明している。国内製油所では、成分が異なる多くの原油油種から、その装置を複雑に連携させて、最適な製品量を生産している。このために多くのリスクを背負いながら、安全・安定を第一に、製品を製造している。必要なそれらのコストは、自らの責任において、需要家に委ねるように最大限の努力を払う。
SSの地下タンクに眠る石油製品は、そうした数多くのリスクを超え、多大な企業努力の結晶としてそこにある。供給の最後の砦である我々SSは、原油、輸入、製油所、国内物流がリレーした、最高の製品を預かっているのだ。
売行きが鈍いからといって、石油製品は、採算を割ってまで安売りされる理由はない。石油のために、SS自らが再生産可能な収益を得るために、リセットすべき価格があれば修正しよう。あと一月後の「3.11から1年」を謙虚に迎えるために。