2012.02.13 のニュース
元売、マージン減で減益も ―業者は赤字で元売との格差拡大―
元売各社の4月~12月の決算が発表されており、セグメント別の石油事業では販売減、マージン減で前年同期に比べると減益となっているが、原油価格の上昇で在庫評価益が発生したため、相殺して増益となった。加えて石油開発は原油価格の上昇で利益を確保、石油化学は海外市況が立ち直り増益となり、連結の利益を押し上げた。本業の石油事業以外の石油開発業、石油化学などが利益を確保することになり、連結決算では増益となっている。
一方、販売業者は、減販と価格競争でマージンが減少、SS経営は厳しくなっており、利益確保をめぐり元売との間に格差が拡大してきた。SSでは主力商品のガソリン、軽油の販売が減少しており、増販が見込まれない。そのため油外商品のタイヤ、オイル、バッテリー、整備などで収益を上げることを狙っているが、この分野はカー用品専門のオートバックスなどにシェアを奪われている。オイルもカーディーラーの進出が目立っており苦戦している。
SSでも油外商品の増販で利益をあげているケースもあるが、ごく僅かである。ガソリン中心の販売となると、マージンを確保することがポイントとなるが、価格競争で市況が下落し赤字が増加している。灯油販売も冬場の季節商品として利益増に寄与したが、暖房器具の電気、ガスヘの転換が進み、都心ではゼロとなっている。このようにみるとガソリ
ン販売が、ますます重要となるが、減販、マージン減の傾向を強めている。その結果、SSの赤字がさらに増加することになる。
以前は元売も販売業者も赤字となり、双方で打開策を検討する場面もあったが、元売は仕切価格の見直し、ブランド料の引き上げなど新体系を打ち出したことで、業績は安定してきた。結果的には、原油価格とガソリンの末端販売価格との差であるグロスマージンを元売と販売業者が取り合うことになるが、元売がまず適正マージンを取り、その後に販売業者がユーザーからマージンを取る構造であるため、価格競争によりマージンが確保できず苦戦どなっている。
元売間ではJX日鉱日石エネルギーがシェア35%での発足もあり、元売は5社体制となって価格競争が自粛されてきた。さらに、仕切価格が新体系となったことでマージンが確保できるようになってきた。
しかし元売サイドでもコスモ石油は、千葉製油所が事故のため操業を停止しており、代替供給に伴うコストの増加で厳しい状況にある。JX日鉱日石エネルギーも仙台製油所が操業を停止しているが、3月頃には再開が見込まれている。
石油製品の販売減は、予想されていたが、東日本大震災を機に、より鮮明となってきた。4月~12月の販売は電力向けのC重油、原油は、大幅な増加をみせているが、他油種は、軒並み減販となっている。ガソリンは3%減、軽油は2%減、灯油は8・5%減となっているが、C重油は25%増となり、燃料油全体では2.4%減となっている。
減販傾向は今後も続くことになるが、操業を停止している2製油所も近く再開されるため、今後は供給増となる心配も出てくる。販売減が続く状況下で2製油所が稼働すると、需給バランスが崩れることから今後の対応が懸念されている。