日刊ニュース

2012.02.14 のニュース

天然ガス優遇策には是正を ―LNG電力用で輸入が増加―

 原発政策の見直しを前提に、エネルギーのベストミックスが総合エネルギー調査会で議論となっているが、石油業界では「石油と電気、天然ガスなどの間のイコールフッティングを確保すべきである」と要望している。さらに「原発の縮小を機に、天然ガスシフト政策が推進されるが、天然ガスシフトありきとして、天然ガスのみを優遇する政策を推進すべきはない」と注文をつけている。
 代替エネルギー法(脱石油)が廃止され、石油など化石燃料の有効活用を推進する中で、これからエネルギーベストミックスを議論することになっており、これまでのような天然ガスの優遇措置(燃料転換補助、ガスコジェネ導入補助など)の見直しを要望している。また、EV(電気自動車)、CNG車(天然ガス圧縮車)は、道路を使用するがガソリン税、軽油税が無税であり、一般自動車が使用するガソリンには税金が課税されているため、公平性を保つべきである。
 エネルギーミックスの選択肢のポイントは、電源構成における原発の構成比をどの程度減らすかにある。原発は09年に約30%であったものを現行のエネルギー基本計画では2030年には53%とすることになっていたが、これを何%までに減らすかが最大のテーマとなっている。
 この数字を巡っては、「反原発派」はゼロを見込んでおり、「原発推進派」も縮小するとの意向があるもののバラツキがあり、対立の幅が大きいため、事前に各委員から意見と数値を求めている。まず原発の構成比を決めてから、ついで石油、石炭、LNGの数値を決めることになる。足元でも原発の停止によって、石油、石炭、LNGでカバーしているが、12月の電力10社の石炭消費が474万トンで前年同月比3.3%増、LNGが498万トンで32%増となっている。重油の受入が132万KL(前年57万KL)で131%増、原油が135万KL(49万KL)409.5%の大幅増となっている。廃油の増加幅が大きいが、前年が低位であったためである。ちなみに電力需要は3.5%減で、うち原発は大半が停止で76%減、火力発電は42%増となっており、原発の減少を化石燃料でカバーしている。4月には、すべての原発を停止する見込みで、さらに石油などの化石燃料が増加する。
 そのため今夏の電力需給が逼迫することが今から懸念されており、節電で乗り切れるのか、新しい対策打ち出しか急務となっている。
 脱原発は、節電、再生可能エネルギーでは、当面の電力不足をカバーすることは難しいため、原発の再稼働が必要となる。どの程度を稼働させるのかが、今回のエネルギー基本計画見直しの最大のポイントとなる。
 原発のマイナス分の多くをカバーするのは、まずLNGとなる。現在もLNG火力の稼働が増加しており、LNGの供給増が、今回の電力不足を救ったことになる。LNGのシェアは約28%であるが2030年には13%に引き下げることになった。だが、今回の原発事故ではLNGの緊急輸入が寄与したことになる。天然ガスの開発が進み需給が緩和していたことが幸いした。LNGは契約、価格決定が硬直的で供給弾力性が低いという弱点があるが、開発ブームで生産量も増加、今後の供給は確保されそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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