日刊ニュース

2012.02.15 のニュース

ガソリン高の体系へ 仕切も灯油に比べ大幅上げ ~先物市況は灯油と同値に~

 経済産業省は、石油備蓄法、石油需給適正化法、JOGMEC法の改正を今国会に提案すると10日の閣議で決定した。この法案に関しては来年度の予算要求をすでに行なっており、予算関連法案として3月末までに成立を期すことになる。
 今回の一連の法改正は、東日本大震災を機に石油、LPG、天然ガス(LNG)の安定供給、サプライチェーンの維持・強化の重要性が再認識されたことから、経産省による燃料油安定供給の先行実施対策の議論を経て具休化することになった。
 今回の震災は、津波による被災地域が広範囲であり、原発事故が発生するなど過去に経験したことのない大惨事となった。製油所、油槽所、ローリー、SSが被害を受け、ガソリンなどが供給不足となり石油のサプライチェーンが寸断された。民間備蓄を放出することで緊急対応したが、安定供給面での不備が指摘された。また、原発事故の発生で「脱原発」が議論となり、操業停止によってLNG、石油火力が急増、天然ガスシフトが要調された。このため、JOGMECに対して石油・天然ガス開発への出資枠増額などの支援策、業務拡大の必要から法改正となった。
 現行の備蓄放出の要件としては「海外からの供給不足」としていたが、改正ではこれに加えて「国内の災害時による石油供給不足に対しても備蓄石油、LPGを放出できる」ように発動要件を見直しするものである。同じ趣旨で需給適正化法も改正する。現行法では、海外の石油の供給不足時だけを想定しているが、これは、石油ショックを経験して中東などの紛争で石油(原油)の供給が途絶することを想定しているもので、今回の震災のような国内の災害を想定していない。海外の紛争は90日(3ヵ月)程度あれば解決するとみて、現在は国家備蓄は原油で約95日分(うち石油製品は0.3%)、LPGは20日分を保有しており、備蓄会社が管理している。その他に民間備蓄として70日分を義務付けているが、実際の備蓄量は90日分を保有しており、義務量よりも多い。
 国家備蓄は、ほとんどが原油であるが、改正後は、石油製品を国家備蓄で保有することになる、来年度予算では石油製品の伽蓄を1日分積み増しすることで予算要求している。
この場合は国が民間会社の石油製品タンクを借りることになる。石油会社はタンクを貸すことで余剰タンクを有効活用が可能となる。
 また、災害時には被災地の石油供給を元売が一致協力して共同作業できるようにする。今回の災害時対応でも、独禁法上の問題が生じるため適用除外を要請したが、今回の法改正で元売間の設備の共同利用、輸送に係わる協力について、予め作成することを義務づける。元売の要請があった場合には、JOGMECが支援(応援要員の派遣など)を行なうことになる。またLPガスも輸入・卸売会社に対して同様の措置を講じることができる。
 SSについても、一定の要件に該当する営業所(SS)を災害時の拠点とするため、当該SSを有する石油販売業者に対し、SSの給油施設の届出義務を追加する。さらにJOGMEC法では、NEDOの石炭・地熱開発事業を受け入れることになり、出資業務を追加。新たに産投出資を活用するために法改正する。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE