日刊ニュース

2012.02.16 のニュース

ガソリンが奏でる不協和音

 製油所、海、陸、SS。ガソリンなど石油製品の物流の流れは、一部に製油所直送があり海が省かれるものの、一般的にはこの順序・ルートで製品がSSに届く。価格面でも、その経費見合いで、下流に行くほど価格が上がる。距離によって異なるが、製油所とSS間の値差は大雑把に3円内、海と陸との格差は通常1円強という。
 ところがガソリンの近況は、最安値が陸であり、その結果、SS届けもそれに準じて割安になっている。しかも丸1ヵ月そうした近況にある。陸上が割安な症状となる理由は、通常は売れ行き不振という解説がされる。石油商社や陸送事業者が、この逆ザヤを負担する訳がないから、元売の懐を毀損しているのだろう。
 同じ海上出荷でも、現物のそれよりも割高な「売」先が国内に存在する。それは東工取である。今月24日に納会を迎えるガソリン先物の最期近は、現物の近況よりも2円高値にある。2円割高な値付けがあるにもかかわらず、そちらへ裁定的な「売」を唱えるのではなく、割安な現物市場で「売」を実行する経済的な意味が不明だ。ガソリン現物市場の相場が、本来の意味のスポットではなく、恒常的な得意先・買い手への供給ではないか、という勘繰りが働く。
 週末に大幅に値上げするものを、わざわざ臨時に小幅値下げをする。こんなことも先週、出現した。期中の改定は珍しいことではなくなったが、精製元売の一部に、わずかな売れ行き不振に対して、迅速に対応せざるを得ない経営事情があるのだろうか。改定する価格帯にも幅を持たせているというから、系列外の現物市場に対する希望卸売価格、と受け止める向きさえある。これらのことが常態化すれば、同条件の顧客に対して異なる価格が出現することになる。先祖返りに類するプライシングと化しつつある、というものだ。
 昨年末からじりじりと値を高める原油価格に対して、ここ数力月、ガソリンの卸上昇は遅々として進まず、その結果、精製元売の台所事情は10円粗利を割り込んで、9、8、7と悪化の一途をたどっている、という履歴が残る。
 SSの懐が毀損している訳ではないから、そのことを咎める理由は見当たらないが、一物一価が崩れ始めたガソリン卸市況が、いままで以上に系列外量販店に利する形態とならないよう、卸市況と元売の卸政策を注視したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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