日刊ニュース

2012.02.20 のニュース

原発ベースを衣替えすべき

 最盛期に3千万KLを超えた灯油内需が、今年度は2千万KL割れとなる可能性が濃厚だ。暦年統計では1934万KLと大台割れを記録している。灯油からエアコンへ、都市ガスヘと家庭用の暖房エネルギーの転換が起こり、灯油やA重油からエコキュートや天然ガス・ボイラーヘと産業用の燃料転換が相次いだことによる。
 原発は稼働率調整がすこぶる難しく、したがって高稼働を維持することが最適とされ、これがベース電源の役割を果たした。原発をベースに、火力が臨機応変に稼働し、昼間のピーク時間帯を支える。
 事故以前の電力会社の営業の力点は、昼間電力の拡大ではなく、深夜電力の用途拡大に注がれ、昼間の半額から3分の1レベルの破格値で、オール電化攻勢が起こり、都市ガスや石油の領域を侵食していった。午後11~午前7時の間に給油されたお客様のガソリン単価は45円です、と言うことと等しい宣伝文句である。140円の小売価格からガソリン税と石油石炭税を除けば27.1円単価と言うに等しくなる。
 この電力攻勢に行政は、主に石油に課せられた税収によって、手厚い脱石油機器の導入支援を施した。今年度予算ペースで、エネルギー特別会計における原油・石油の税収は、石油石炭税5120億円の約8割に相当する約4千億円。ここから、脱石油や省エネを誘導する分野ヘ1639億円が振り向けられている。石油に重荷を課したうえで、そこから搾り取った実額支援を電力に施す。
 東日本大震災とその後の原発事約によって、この構図は様変わりせざるを得ない。ペース電源を担うべき原発は54基、4896万KWあった。その稼働数は現在わずか3基、314万KWで、この週明けには1基が点検停止に入る。4月中には稼働ゼロが視野に入る。それでもガソリン27円相当の特価と、脱石油機器の導入支援は続行されている。
 電気自動車も同類だ。やはり原発の高稼働を前提に設定された深夜電力の活用領域を拡大する有効な手法とされ、多額の導入補助金付きである。原発ゼロヘのカウントダウンが始まり、化石燃料による火力の稼働で賄わざるを得なくなっている深夜電力でEVが走る。我々は140円ガソリンで、彼らは特権的ガソリン27.1円プラス補助金で、それぞれが走る。いびつ過ぎる光景が出現している。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE