2012.02.21 のニュース
最後の砦は石油と人
中小企業が98%強と圧倒的多数を占め、1SSディーラーが7割強。石油協会の2010年度石油製品販売業経営実態調査報告によるものだが、過去5年間もこの構図はほぼ不変だ。全国の販売業者を無作為抽出した集計結果ゆえ回答者の顔ぶれは異なるが、プライベートブランド事業者数が4・5%と年々増えている点が気になった。10年度末の登録約3.9万SS中、系列店は2.9万SS。このギャップ25%には商社やJAなどのマークが相当数含まれるが、いわゆるPBや無印も漸増中と推察し得る。
近年、系列にとどまるメリットが相対的に低くなったとの指摘が聞かれる。積極果敢に独立の道へと踏み出した場合もあろうが、どちらかというと、系列・業転卸格差に伴う大場競争力の劣勢に苛まれ、やむなく系列を離脱したケースも多いのではないか。ガソリン内需減に転じ、競争激化に直面しているいま、進路を問われ、思案している組合員が多数いる。決断には結果責任が伴うので軽はずみな言動は厳に慎まねばならないが、できることならSS=サービスーステーションは続けていただきたい。東日本大震災を経て、地域社会は石油・SSの存在意義や重専性に再注目している。
発災後の混乱時、最も頼りにしてきた、絆と信じてきた系列ルートの供給が滞った。過去数度の石油危機で安定供給の必要性を意識付けられ、いざという時に備えた対価として“ブランド料”を負担してきた思いは強い。他のリテールサポート機能は日常的に、断続的に、あるいはオプションとして数多く提供され、系列業者が応分に利用してきたのだろうが、石油製品の供給停滞や大幅な制限、極端な遅延に対しては、災害の甚大さや物流網の混乱といった特殊事情があったにせよ、その影響を差し引いても期待に応えてくれなかったと悔しがる系列業者は多い。安定供給を欠かれた落胆は、想像以上に深そうである。
各企業、業界、行政など各方面から得られた教訓を生かし、災害時の供給支障を払拭して安定供給網を構築するための改正法案が閣議決定された。これは大きな前進だが、体制を整備すると同時に、仕組みを動かす「人」と「人」との関わり合いも重要だ。最後の砦となる石油を守る責務、最前線にいるSS群の健全経営を支え抜く役割を、それぞれの立場で果たす必要がある。