2012.02.23 のニュース
原油高、円安で仕切値上げ ―業者、ガソリン値上げに取り組むー
原油価格は値上がりしてきた。WTIは103ドル/バーレルに、中東産は116~117ドル、ブレントは120ドル台へと値上がりしている。この原油価格の値上がりを受けて仕切価格が値上がりとなり、販売業者はユーザー転嫁に取り組む時期となってきた。灯油シーズンが終わりに近づき、元売、販売業者とも、ガソリン市況の立て直しを図ることになった。
原油価格の上昇は、アメリカの経済指標が好転していることから株価が上昇しており、これに連動して商品相場も上昇してきたもの。欧州危機の源であるギリシャへの第二次支援策がまとまるとの報道が好材料となっている。さらに地政学リスクとしてイランによる欧州への原油の輸出停止が伝えられるなどの要因が、原油価格の上昇を後押ししている。とくにブレントは120ドル台へと高騰してきた。
原油価格の値動きは、実需を反映するのではなく、金融相場として値動きするため見通しは難しいが、値上がり基調となってきた。原油価格は夏場は不需要期であるため値下がりしたが、冬場に入って値上がりしてきたことになるが、今後となると、需要期が終わるため、本来ならば需要減となり値下がりするが、イラン問題の行方が不透明であるため、値上がり基調となっている。
加えて為替も79円/ドルと円安となっており、コスト増となってきた。その結果、東工取の先物はガソリンが70円/L、灯油は72円、業転市況も値上がりに転じており、状況は大きく変化している。原油価格も上昇、為替は円安となり、コスト高となったことから、業転市況も先行き、値上がりが見込まれている。
原油価格の値上がりを受けて仕切価格も本格的な値上がりとなってきた。ガソリンは11日から1円強、18日から2円程度の値上がり、計3円以上の値上がりとなってきた。ガソリンの末端市況は、年末年始は安定して推移したが、1月中旬に値上げを試み、軌道に乗るかにみえたが、その直後に急落した。販売減となり、価格競争が展開されたことが要因であるが、ここにきて在庫が減少するなど需給が調整されたため、値上げ環境が整備されてきた。とくに寒波の襲来で灯油販売が増販となり、灯油を中心に各油種の在庫が減少したことが好材料となっている。ガソリン在庫は204万KLと200万KL割れ寸前となってきた。灯油は200万KLを割っている。
今回の仕切価格の値上げを受けて、販売業者は再度、値上げに取り組んでいるが、今のところ販売業者の足並みも揃っている。ガソリン販売は3月に入れば、春休み、春の行楽シーズンで増販が見込まれる。
元売も1月末で灯油のシーズンが終了するため販売減となることから、灯油に代わってガソリンの増販、値上げ達成を重点に取り組んでいる。街道沿いはボトム140円以上をひとまずの目標に据えている。安価は135円であるため一気に5円以上の値上げとなるが、さらに143円までを狙うことになる。
今後もガソリンは増販が期待できないため、マージン確保を優先した取り組みとなる。仕切価格の値上げが今後も続くことになると、販売業者は赤字となるため、原油価格の値上がりを機にユーザー転嫁に取り組むことになる。