2012.02.24 のニュース
灯油在庫増のままシーズン終える ―マージン減少も安定供給を優先―
灯油シーズンは終了間際となってきた。今後も冷え込む日はあるが、来週には3月に入る。3月となれば関東地区の気温も10度を超えることになり、灯油ストーブの使用は減少する。灯油の在庫は200万KLを割っており、在庫調整の時期となってきた。ポイントは3月末在庫を、どこまで減らすかにかかっている。
今冬は、昨年3月11日の東日本大震災の影響もあり、灯油の安定供給の確保を最優先するため、各社は早めに在庫を積み増した。夏場では灯油ストーブが増販となり、灯油の需要は増加するとの見通しとなった。消費者が災害に備えて小型の灯油ストーブを購入したのだが、結果的には実際に使用をせずシーズンを終えることになり、予想された灯油の増販に結びつかなかったようである。それでも、年末からの寒波の襲来や大雪で12月、1月は増販となった。
石油統計によると昨年9月末の打油在庫は326万KL(前年は264万KL)で前年比で62万KL増、10月が337万KL(290万KL)で47万KL増、11月が354万KL(286万KLで68万KL増、12月が273万KL(231万KL)で42万KL増で推移した。このように今冬はシーズン入り前から高水準の在庫状況となっている。
前年は300万KLを超えることなく低位で推移したこともあり、元売もマージンを確保できた。しかし、今冬の灯油在庫は高水準で推移したため供給増となり、値取りができず元売のマージンは前年に比べると減少した。供給増ではあるが、安定供給の確保において、寒冷地などでは不安も残り、大きく値崩れすることはなく推移した。原油価格もドバイで7月~9月で111ドル/バーレル、10月~12月は107ドル、1月は110ドルと高値であるが安定して推移した。ここにきて117ドル~118ドルと値上がりしており、先物は72円、業転市況は77円と値上がりしている。先物は4月限では70円と先安となっている。
灯油の仕切価格(平均)は11月で約5円/Lの値上げ、12月は1円強の値下げ、1月は2円50銭の値上げとなっているが、ここにきて原油価格の上昇で値上げとなっている。
末端市況はSS店頭が90円/L、配達が100円~110円となっており、安定している。元売の業績は、在庫評価益を除くと前年に比べると減益となっている。灯油などの石油製品は在庫増となったためマージンが減少している。今後1月~3月でのマージン増を狙っているが、これからの市況次第となる。
原油価格が値上がりとなり、仕切価格も値上がりしているが、灯油は販売数量がこれから減少するため、値取りがどこまでできるかにかかってくる。寒波が続けば供給不足となり、値取りが可能であるが、気温が上昇すると値取りが難しくなる。
近年では3月~4月も冷え込みが続くこともあり、まだ増販、増益のチャンスは残っている。それでも本格的なシーズンは2月末が目安であるため、今後は市況を維持することがポイントとなる。もちろん原油価格が値上がりすれば、仕切価格が値上げとなるが、灯油はシーズン終了前であるため難しく、これからはガソリンの値上げが主軸となる。