日刊ニュース

2012.02.25 のニュース

再生可能エネルギーの拡大には難点

 再生可能エネルギーの導入拡大、化石燃料の課題をめぐっての議論は、総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会で開始されているが、終盤に入り週1回の開催となり、これから本格化する。
 再生可能エネルギー等については、電源構成でみると現状(2010年)は10%(一次エネルギー供給では6.8%)を占めている。うち、水力の8.5%が含まれており、残る太陽光が0.2%、風力が0.4%、地熱が0.3%、バイオマス、廃棄物が0.3%となっており、そのシェアは少なくベース電源にはなりえない。ちなみに石油が7%、原子力、LNGが各29%石炭が25%となっている。だが、原発事故の影響で昨年12月の実績では原発は7%に激減、これに替わり石油は16%、LNGは46%へ急増している。原発は、定期点検後の再稼働が認められなければ4月にはゼロとなるため、ますます石油、LNGへのシフトが進むことになる。この数字からみても、原発の減少をカバーするのは石油、LNGなどの化石燃料となる。
 脱原発で原発をゼロとした場合は「原発に替わって再生可能エネルギーでカバーが可能」との意見もあるが、再生可能エネルギーには、リードタイムもあり、簡単に普及することは難しく現実を無視した意見である。太陽光(住宅用)は2~3ヵ月で立ち上がるが小規模であり、メガソーラーが1年、その他の地熱、風力は5~10年以上がかかる。太陽光がブームとなっているが、近く決まる電力買取制の料金設定によって普及するか否かが定まりそうである。
 現行のエネルギー基本法による2030年の再生可能エネルギーの電源構成では、21%に引き上げることになっている。そのうちの構成は水力が10.5%、太陽光が5.6%、風力が1.7%、地熱が1%、バイオが2.1%となっている。ちなみに石油は2%に減少、原発は53%へと増加するシナリオとなっていたが、東日本大震災による福島原発の事故を機に、現在、白紙で見直し作業を行なっているもので、今回の見直しでは、再生可能エネルギーを拡大することでは、コンセンサスを得ている。だが、導入のためのコスト増の負担を国民がどのように考えるのかが論点となる。
 これまでの「脱石油」政策によって「原発推進」となっていたが、『原発縮小』路線へ変更となり、原発をどう位置付けるかが、エネルギー政策見直しの最大のポイントとなる。まず原発の構成比が決まらなければ、他の化石燃料、再生可能エネルギーの電源構成が決まらない。現在、各委員に対してエネルギーミックスの選択肢(繊成比)に向けて意見を3月9日まで求めている。提出の書式を提示し文書での回答を求めている。これを3月14日予定の総合エネ調に報告することになっている。
 エネルギー計画の見直しにおいては原発の電源構成がポイントとなる。そもそもエネルギー計画の見直しは、経産省の所管であり、総合エネ調が行なうことになっているのだが、民主党の政治主導という方針により、エネルギー・環境会議(内閣府)が先行して審議することになっている。このため双方での事前調整が必要となることから、3月末には総合エネ調の意見をまとめることになったようである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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