2012.02.28 のニュース
平時のメンテも義務付けを
東日本大震災で被災地などを中心に石油製品供給が支障を来たしたことから、災害時における石油の供給不足に対処できるよう、政府は石油備蓄法や石油需給適正化法などを一部改正する法案を閣議決定した。
これまでの石油備蓄法は海外から石油が途絶した場合に放出することになっていたが、国内の特定の地域での災害で石油の供給不足が生じたにも石油備蓄を放出できるようにする。同時に、現在、大部分が原油で備蓄されているものを、今後は製品での備蓄を大幅に増やす。
また、元売各社に対し、災害時を想定して各社間で共同作業体制の構築や設備の共同利用、石油輸送に係る協力などの体制をあらかじめ地域ごとに共同で作成するよう義務付け、実際に災害が発生した際には経済産業大臣がその実施を勧告する。
また、一定の要件に該当するSSを災害時における給油の拠点とするため、これらの中核SSを有する石油販売業者に、その給油に係る設備の状況等の届出を義務付ける。さらに地域における情報収集拠点として、法律の中に石油組合を明確に位置付け、迅速かつ円滑な対策がとれるようSS石油組合・国という一連の情報収集・連絡体制を整備する。
これらの改正の内容は、大震災での経験をもとに、全石連が石油製品の緊急時必需品としての特性を勘案して提言した「緊急時石油流通円滑化法」の主旨に沿ったものである。
しかし、その提言の中でまだ抜け落ちているものがある。
病院、消防、警察、上下水道施設をはじめ学校や駅など緊急時に重要になる公共施設への自家発電設備などの配置と、年2回程度のメンテナンス稼働を義務付けるべきとした部分である。
石油製品をいかに迅速かつ円滑に供給したとしても、提供した先で発電機などが故障していた場合は意味がなくなる。大震災ではそのようなケースが頻発したことから、確認のためのメンテナンス稼働を義務付けるよう提言したものだが、災害時に重要となるこれらの公共施設は所管省庁が多岐にわたるため今回の法改正で一律に義務付けるのは難しいという。
政府はこれらの災害時重要施設の機能を維持するため、所管する各省庁に対し、発電機などの定期的なメンテナンス稼働を義務付けるよう指示すべきである。