日刊ニュース

2012.02.28 のニュース

灯油シーズンは市況安定で推移 ―終了直前に値上げ局面到来―

 灯油シーズンは、2月末となり終わりに近づいた。シーズンは3月末までとなるが、これからも冷え込む日があるものの、長くは続かず灯油の販売数量が急増することはない。
関東地区も気温が上昇し、春が近づいてきた。今冬の末端市況は、在庫増で供給に余力があったが、店頭で90円/L、配達で100円相場で安定して推移したことになり、販売業者もマージンを確保してまずまずのところである。販売数量では増販が予想されたが、それを下回ったものの年末から1月~2月は前年比で増加となったようである。
 今冬の灯油商戦は、東日本大震災の影響で、夏場に灯油ストーブの販売が増加したこともあり、増販を期待した。全石連もSS店頭に灯油の増販を狙ってポスターを掲示するなど、消費者に需要喚起を訴えた。1月に入って寒波襲来、大雪となり、寒冷地では、ローリー輸送で支障が生じ、灯油の供給が懸念されたが、ここにきて天候も回復、供給不安は消えた。
 元売各社の今冬の対応は、震災の影響を受けて、供給確保を優先して夏場から在庫を積み増したため、在庫水準が高くなった。仙台、千葉の2製油所の操業が停止していることもあり、在庫数量を多めに確保する必要もあった。その結果、在庫は前年比で80~90万KLも多い水準となって推移したため、元売の灯油マージンは前年比で減少した。夏場に灯油ストーブの売れ行きが増加したため灯油の増販を見込んだが、ユーザーは停電などを心配して灯油ストーブを購入したものの、実際には使用しなかったため、シーズンの前半は販売減で推移した。電気、ガスヘの燃料転換が進んでおり、灯油への回帰は難しいことを実証したことになる。オール電化に加速する動きは、停止したが、都市ガスの攻勢が浸透しそうである。
 一方、元売は灯油の安定供給を重視したため、在庫を多く持つことで社会的責務を果たしたことになる。前年並みの低在庫で臨み、値取りを優先した対応となれば批判が予想されたのだが、在庫を積み増したことで安定供給を確約したことになる。供給増でマージンは減少したが、やむを得ないところである。
 それでも1月に入り、予想外の寒波の襲来で増販となり、在庫は減少してきた。ここにきて元売の在庫(18日)は178万KLで前週に比ベ16万KLの減少、前年に比べて20万KL減となってきた。冷え込みが長期化すると供給不足も心配されるが、増産、輸入での対応も可能となるため、シーズン終了直前で在庫が減少することは理想的な展開となっている。
 ここにきて原油価格が高騰しており、灯油は先物、業転市況は値上がり、仕切価格も値上げとなってきた。元売も、シーズン終了直前の値上げとなるため、ユーザー転嫁は難しくなるが、今回は大幅な値上がりとなるため、転嫁しないと販売業者に不利益が生じる。ガソリンも値上がりしているため、灯油も値上がり局面となってきた。灯油は安定して推移していたが、シーズン終了時で値上げが達成できるのか、最後にヤマ場がきたようだ。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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