日刊ニュース

2012.03.01 のニュース

石油の税は石油対策に

 キロリットル5万3800円のガソリン税、3万2100円の軽油引取税。道路特定財源だったこれらの税が一般財源化されたにもかかわらず本則税率に「当分の間税率」(旧暫定税率)を上乗せした前記税額が続いている。これに石油石炭税や石油ガス税や航空機燃料税を含んだ石油諸税の総額は4兆3851億円011年度予算)で、国税収入の8%に達する巨額な財源になっている。
 さらにガソリン税などには5%の消費税が単純併課されており、政府が先ごろ閣議決定した10%への消費税増税が実現すれば、約3000億円が加算される。一方で、キロリットル2040円の石油石炭税についても、今国会で地球温暖化のための税として増税案か可決されれば、今年10月から段階的に増税となり、最終的には2800円に引き上げられる。
 これだけ多種・多段階かつ巨額な税が上乗せされた石油製品は、近年の原油価格の高止まり、最近の高騰によって価格が上昇しており、消費者に大きな負担を強いている。税も含めた石油製品の高騰は需要の減少要因になっているが、それに加えて国による電気自動車や低燃費自動車の普及推進のための支援措置により、需要減はさらに加速している。
 ところがこれらの電気自動車の普及促進や石油から天然ガスなどへの燃料転換などの事業を押し進めている予算は、石油業界が主に徴収を担っている石油石炭税を元にしたエネ
ルギー特別会計から捻出されている。つまり、脱石油のために、ガリリンなどから徴収した税金が使われているのである。
 東日本大震災を機に緊急時必需品としての石油の重要性が認識され、エネルギー特別会計の中の燃料安定供給対策として、中核SSの整備やエネルギー供給拠点整備事業などの支援が拡充してはいる。
 しかし、12年度予算案ではその特別会計の残り半分が、エネルギー需給構造高度化対策として、電気自動車の普及促進や燃料転換、さらには再生可能エネルギーや省エネ設備の導入拡大などのための補助金として支出される予定だ。今年度まではむしろこの高度化対策のほうが多かった。
 大震災で石油の重要性がはっきりしたいま、石油から徴税した税金は脱石油のための対策に使うのではなく、石油の安定供給対策により多く投入すべきである。

提供元:全国石油商業組合連合会
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