2012.03.01 のニュース
電源構成で原発の比率が焦点 ―各委員に調査も大幅な差異が出るー
エネルギー政策の見直しの議論は一段落した。総合資源エネルギー調査会・基本問題検討委員会は、22日の第13回会合で政策的な審議を一巡したことになる。海外(IEA、ドイツなど)、消費者、ユーザー、供給者(電気、石油、ガス各社)からのヒアリングが行なわれたが、ほとんどが原発問題に集中した。石油政策については天坊石油連盟会長が出席したが、バイオ燃料問題が出たのみで、LPGに関する質問はゼロであった。すでに有識者会識で燃料油の安定供給のための先行計画で審議を終えたとされている。
東日本大震災における福島原発事故に起因する原発政策の見直しが最大のテーマであったため、反原発の意見が大勢を占める結果となった。委員の選任で反原発の委員を多く配置したためで、枝野経産大臣の「原発を含めエネルギー政策を白紙で見直す」という意向を反映したものとなっている。過去の審議会のように初めから落とし所を想定して事務局(経産省)が委員を選任せず、反対派の委員を含める政治主導の方針による。原発問題を巡っては反対派の意見が多くなり、推進派の意見は少数となっているが、最終的には政治判断で決着をつけることになる。
また、エネルギー政策の見直しでは、内閣府のエネルギー、環境会議が先行して方針を出しており、総合エネ調との整合性を図るとしている。エネルギー基本計画の策定は、法律では経産省(総合エネ調)が決めることになっているが、後手に回る公算が強い。その前提となる政策はエネルギー・環境会議で先行して、審議、方針が決まるため、この場で政治的判断が加味される。
これからの総合エネ調の議論は、エネルギー基本計画を策定するための数値目標となり、各論の審議となる。手順としては、電源構成から一次エネルギー供給の数値を算出する。その場合は電力に使用されたエネルギーを一次エネルギーに転換し、電力以外に使用されたエネルギーと合算することになる。
そのため問題は原発の構成比となる。現行では2030年に減発を53%(新増設14基)に引き上げ、石油は2%に引き下げる計画となっている。2010年は原発が29%、石油は7.5%となっており。石油については、石油連盟の4次提言で2020年には15%に引き上げるよう要望している。
原発については、各委員の意見が違うため、3月9日までにアンケートで数値を求めることになった。原発については、20%程度が妥当な水準であり、原発のマイナス分を化石燃料(石油、LNG、石炭)でカバーすべきとの見方が出ている。一方で、原発は早期にゼロにすべきとの意見もあり、4月には54基のすべての減発が停止となるが、再稼働に反対の意見も出ている。そのため原発の構成比を数値で出すことにも反対している。反原発の立場からは、原発はゼロであり、数値は認めることは原発を容認することになる。
このように原発を巡っては、意見で大きな差があるため、調査の結果もまとめても、公表するのか未定である。最終的には数値を入れることになるが、政治的な判断となる。